【感想 #98】Grow Home(PS4)

『Grow Home』簡易レビュー

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植物を天高く育てるというシンプルなゲーム内容やポップでキュートな雰囲気、ひらがなを使用したテキストログなど、一見すると低年齢でも遊び易い作品に見えるものの、実際はそうでもない。

慣性が強く小回りの効かない操作性のおかげで足元はふらつき、不安定なグリップ力によってツタを掴み損ねて頻繁に落下死(ゲームオーバーにはならない)する様は、年齢問わずストレスに感じるはず。

プレイ開始後まもなくは、本作のイメージとして童話「ジャックと豆の木」を思い描いていたが、何度も滑り落ちながら必死にしがみ付いているB.U.Dの姿を見ているうちに、「蜘蛛の糸」の方が合っているように思えてしまった(笑)

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しかしながら、同社の『アサシンクリード』を凌ぐ玉ヒュンする高所感やフリーフォールの気持ち良さは特筆すべきもので、幻想的な朝陽を眺めながら巨大な植物の周囲を優雅に飛び回るのも楽しい。

早い段階で無限ジェットパックを手に入れられたり、グライダーとパラシュートを同時に所持できたりといったアクションの柔軟性があれば、もっと気持ち良く遊べた作品だった。

【感想 #97】Stick it to The Man!(PS4)

『Stick it to The Man!』簡易レビュー

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そもそも、本作の概要からして意味が分からない(笑)

紙とシールでできた世界の住人、レイ。 ある日事故に遭った彼が目を覚ますと、頭(というか脳みそ)からピンク色のスパゲッティみたいな第三の手が生えていた!どうやら、この手を使うと世界を大きく変えられるみたい……?

作品内はブラックジョークに溢れ、ゲームをプレイしているというよりもコメディアニメを観ている感覚に近い。Steamのユーザーレビューやメタクリでの評判もすこぶる高く、本作のギャグセンスにハマれる方にとっては非常に愉快な時間となるはず。

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ゲームとしては、一部の謎解きが脈絡なく分かり辛い、NPCが密集しているとカーソルを合わせにくい、といった難点は目につくものの、プレイを阻害するほどのものではない。

小さなことを気にするよりも、本作のバカバカしさを楽しんだ者勝ち。

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他人がどう考えているかを気にしてしまうのは人間の性だし、できることならその思考を覗きたい気もするが、頭からピンクのスパゲッティみたいな触手を生やすのは勘弁(笑)

【感想 #96】LIMBO(PS4)

『LIMBO』簡易レビュー

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独創的で不穏なモノクロ世界、子供であろうと情けの無い死に様、考察の余地の大きい物語背景など、短めなプレイ時間以上に印象深い作品。 LIMBO という概念(以下に引用)を理解するのは難しいものの、此の世とも彼の世ともつかない空間で少年が妹を探してひたすら前へ進み続ける様には、心打たれるものがあった。

辺獄(へんごく、リンボ、ラテン語: Limbus、英: Limbo)は、カトリック教会において「原罪のうちに(すなわち洗礼の恵みを受けないまま)死んだが、永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く」と伝統的に考えられてきた場所のこと。中世の西方教会神学者たちが死後の世界について考える際に分けられたもので、いわゆる「地獄」や「煉獄」と混同されることもあるがこれらとは異なるものであり、イエス・キリストが死後復活までの間にとどまった場所(父祖の辺獄)、および洗礼を受ける前に死亡した幼児が行く場所(幼児の辺獄)と考えられてきた。
辺獄 - Wikipedia

さらに、パズルアクションゲームとしてのクオリティも高く、注意深い観察と操作をこなしてギミックを突破できた際は、脳が気持ち良くなる。トライ&エラーが多くなることを見越して、チェックポイントが細かく、瞬時にリトライできる点も評価したい。

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なお、先に “考察の余地の大きい物語背景” と述べた通り、本作の説明は「Uncertain of his sister's fate, a boy enters LIMBO」の一文のみで、兄妹の生死や死に至る過程、エンディングの解釈はプレイヤーの想像に委ねられている。

そんな中で、下記の方々の感想が興味深かった。

お二人の指摘を踏まえて思うのは、存在する物語をプレイヤーの文脈で読み解くだけがナラティブではなく、存在しない物語をプレイヤーが構築するのもまたナラティブなのではないかということ。仮に本作には後者のように明確な物語が存在しないとしても、作品としてナラティブに(感じられるよう)作られているのだと考えると、奥が深い。

<参考>
dengekionline.com
www.famitsu.com