【レビュー #19】METAL GEAR SOLID HD EDITION(PS3)

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プレイした環境

リージョン 日本版 言語 日本語 評価 ★★★☆☆

操作感の面では、もともとフレームレートが高かったMGS2はさほど違いは感じないが、60fpsに引き上げられたMGS3での触り心地は別物のよう。
PWHDでの驚きと等しく「ヌルヌル動く」感覚は、アクションゲームにおいてやはり快感。

リマスターされたグラフィックもオリジナルとの違いは歴然。
人物やオブジェクトのモデリングの「線」がより鮮明になり、字幕やアイコンも見やすい。

また、他のHDリマスター作品において、ゲーム部分以外のカットシーンはほぼオリジナルのまま(SD画質)という作品もあるが、本作では小島監督の目もあることですべてにおいて抜かりが無い。
「ただの移植」で終わらせず、リアルタイムでオリジナルに触れてきた世代以外にもMGSを楽しんでもらいたいという真摯な姿勢が感じられる。

ただし、現世代のゲームに慣れると当時のアクション操作に戸惑いを覚える部分も。
特に、感圧式のボタン操作で銃を構える→発砲は今ではいささかやり辛い。
敵をホールドアップするつもりが誤って発砲してアラート状態になったプレイヤーも多いはず。

MGS2VR訓練の難易度が高い一因は、きっとこの操作性にある(笑)

現在のシューター(TPS・FPS)でスタンダードとなった「L1エイム・R1発砲・右スティックエイム調整」はPS機のコントローラにおいて適切な配置であると思っている。
本作のオリジナルから約10年、洋ゲーの進出と躍進、そしてジャンルとしての成熟に思いを馳せずにはいられない。


それと、もうひとつ本作から感じたのが「ゲームの作り方」の変化。

2作とも物語導入部はもちろん、プレイアブルなゲーム部分に挿入されるカットシーンが非常に多い。
これは小島監督が作るゲームだからという訳でなく、PS2時代の大作物には傾向として多かったように思う。

ハードが次世代に移り、よりインタラクティブなゲームプレイが可能となったことで、これまでは映像としてまかなっていた部分へもプレイヤーが介入することができるようになった。
映像からゲーム部分への移行もシームレスになり、臨場感と没入感はPS2当時のそれとは比べようもない。
QTEははぐらかされた感覚があるので、新たな手法を望みたいけれど…)

HD機初期のMGS4はシリーズとして評価された一方で、ゲームとしては批判も多い。
MGS4をリプレイしてもグラフィックやサウンドは現時点でも劣るものではないと思うが、進行のテンポの悪さやカットシーンで「語ること」の多さには辟易してしまう。

本作をプレイして、MGS4の賛否が分かれる原因は前世代から引き継いだ「ゲームの作り方」にあったのだと、今さらながら感じてしまった。


MGS絡みでは、まもなくライジングが発売される。

これまでのシリーズとジャンルは大きく異なるが、プラチナゲームズのおかげで息を吹き返した雷電を操作できるのを心待ちにしている。

願わくば、次の世代へジャンプアップする前に小島監督がつくるHD作品を遊びたいのだけれど…。