【レビュー #26】Spec Ops: The Line(PS3)

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プレイ環境

リージョン アジア版 音声 英語 字幕 英語

評価 6.0 / 10

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
3 4 3 2 3

短評
ゲームシステムはよくあるカバータイプのTPSであり、ゲーム中の大半を分隊員を率いて行動するため、味方に指示を出したりできる。ただし、指示と言えどもどの敵を集中して狙うかくらいであり、味方AIが貧弱なのも手伝って、分隊員が無防備に前線に飛び出てダウンするテンポの悪い展開がやたら多い。
本作の魅力は映画『地獄の黙示録』をオマージュしたようなプロットやストーリー展開であり、砂塵にまみれた狂気じみたドバイの雰囲気は大国同士の現代戦シューターでは味わえない。ゲーム好きより、映画好きが楽しめるであろう一作。


独創性

「砂」を象徴にしたゲームデザインは新鮮。

だが、砂を利用して敵を倒すシーンは限られ、シチュエーションも少ない。
砂嵐が襲来するのもイベント演出としてなのでシーン固定。
リアルタイムな環境変化は起きず、また、砂によるアクシデント(足を取られて転ぶ、銃火器に砂が詰まってジャムを起こすなど)も無いため、見せかけだけの緊張感なのが残念。

後述するが、TPSとしての操作性と難易度バランスが破綻気味なので、上記のようなアクシデント要素が盛り込まれていたらプレーヤーを発狂させてしまうかもしれないが…。

【 3 / 5 】

映像性

砂まみれの高層建築が立ち並ぶドバイの風景は他のゲームでは見られない。
地下に降りれば無数の生々しい死体が累々と横たわっているのもギャップがあって強い印象を残す。

砂の質感として『アンチャーテッド3』のような喉が渇くようなサラサラ感は無いものの、血が滴り四肢が弾け飛ぶ光景は無機質な砂の空間だと余計に凄惨さを増すよう。
焼けただれた民間人やあちこちに吊るし上げられた死体などショッキングな映像も多いが、狂気に触れた人間の恐ろしさ、醜悪さをプレイヤーに訴えかけてくるようで、より一層恐ろしく感じられる。

グラフィックの質よりも、異様な雰囲気を味わうゲーム。

【 4 / 5 】

音楽性

全編を通して音楽で盛り上がるシーンが少なかった。

【 3 / 5 】

操作性

TPSとしてはよくある操作系だが、カバーに難がある。
遮蔽物への吸い付きが任意のためレスポンスが悪く、カバー間での移動もスムーズさが欠けるために全体的にスピード感が無い。

また、味方AIが頼りにならず無防備な場所でダウンするため、救出に行ったこちらまでが巻き込まれて死亡するシーンも頻繁に起こる。(ダウンした仲間は一定時間後に死亡するため、放置するとゲームオーバーになる)

リスタートのロードも10秒弱あるので、リプレイするにもストレスが溜まる。

敵をヘッドショットしたときに画面がスロー演出になるのは、ありふれた手法ながらもそこそこ爽快。

【 2 / 5 】

熱中度

イージー〜ノーマルであれば独特の雰囲気を堪能しながら楽しめる。
ハード以上は進行するのも一苦労な大味のゲームバランスになり、粗が目立つ。

本編のゲーム性には特に魅力を感じなかったのでマルチプレイヤーは未プレイだが、レビュー等を読むとあまり評判は良ろしくなさそう。
シューターとして撃ち合い・立ち回りの面白さを求めるならば、素直に他タイトルを手に取った方が満足できると思われる。

【 3 / 5 】


コメント

シューターながらもストーリーを重視したゲーム。
プレイヤーキャラクターが自分の犯した過ちから目を背けて徐々に正気を失っていく様は、戦争の過酷な心理状況を物語っているようでおぞましい。
迎えるエンディングはプレイヤーの行動次第で分岐するマルチエンディングであり、どれもが後味の良いものではない。

精神をじわじわと浸食され悶え苦しむ主人公と同化して過酷な戦争追体験をしてみたいのであれば、貴重なタイトルになるかも。