【レビュー #29】FINAL FANTASY XIII-2【PS3】

評価 6.8 / 10 (プレイ環境:日本版)

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
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「奇跡=パラドックス??」

ストーリーは前作のエンディング直後から始まるが、ただでさえ「奇跡」という安易な言葉で終わらせた結末をいとも簡単にひっくり返すことに呆れるとともに驚いた。主人公たちが幸せな未来を手にしたのは(少なくとも前作では)関知し得ない超越的な存在の「思し召し」であり、そのおかげで歴史が歪み(=矛盾、パラドックス)新たなる闘争が発生する。造語だらけの世界に遊び手を置き去りにするだけでは飽き足らず、その世界すら作り手の思いつきであっさりと再構築してしまう姿勢は、世界的なブランドを誇る「FINAL FANTASY」としての自らの価値を貶めているようにしか思えない。

また、追加されたDLCのエピソードもあえて独立させるほどの価値があるのかも疑問で、開発元の意図とは別に「本編の消化不良ぶりを他所で補おうとしている」ように感じられてしまう。プロットの構成とストーリーテリングRPGのキモであると思われるが、それらを放棄したとも言える今作の出来は「良い・悪い」ではなく「評価すら出来ない」と言える。

「ストーリー以外の面では概ね満足」

前作同様、バトルシステムやサウンドは好評価。前作の素晴らしい楽曲が今作にも散りばめられているのは、サントラを即買いした身としては嬉しい限り。グラフィックも前作ほどの衝撃は無いものの、雨に濡れた路面や逆光で眩しい太陽の表現などは流石の美しさ。やり込むとかなり奥深いモンスター育成も良いアクセントになっており、パーティー人数が多かった前作よりも幅広い編成が楽しめる。そして、実質的な「強くてニューゲーム」、エンカウント率の操作やゲームスピードの調整などのチート的な機能も備えているので、システム面では長く遊べる作品になったことは間違い無い。

「ストーリーさえ良ければ…」といった前作の評価そのままなのが至極残念。


【総評】

ワゴンセールで堆く積上っていたので今さら購入&クリア。ユーザーから手厳しい声が上がっているのを承知でプレイしたが、実際に遊んでみてその酷評通りであることを理解。

折しも、タイミング良く続編の発表もなされ『FINAL FANTASY XIII』シリーズの完結が明言されたが、シリーズを統括するディレクターが「ワールドドリヴン」などという言葉を強調している時点であまり期待は出来そうにない。当初の「ファブラノヴァ〜」の構想も雲散霧消しつつある今、シリーズ完結作である次作の負う役割は大きそうだ。