【レビュー #38 / PS3 】Dishonored

総合評価 8.0 / 10  (プレイ環境:日本版)

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
4 4 3 5 4
ーすばらしきスチームパンクの世界ー

PS3日本版特有のフリーズ現象がようやく一段落し、価格も落ち着いてきたのを機に購入。タイトル通りの汚名を着せられるプロローグから、どんでん返しのある中盤、そして一貫して自らの誇りを懸け復讐を遂げるラストまでゆるみの無いストーリーは文句無し。蒸気機関が産業を支えるスチームパンクな世界の中で、主人公コルヴォを操り不誠実な政官やふしだらな上流貴族を次々に社会から抹消するゲームプレイも爽快。重要ターゲットの生死を含め、道中の攻略ルートもプレイヤーの選択次第で大きく分かれるため、自分好みのスタイルで自由度高く遊べるのも高評価。グラフィックは精細ではないものの西洋絵画的な趣があり、腐敗と虚飾に塗れた世界観によく馴染んでいる。

なお、残念なのは、一部の日本語字幕に誤字があったり、キャラクターの話すセリフと合っていなかったりと音声回りに若干の粗がある点。それと、できれば日本語字幕に「話者」の表示を入れてもらえるともっと見易かったかなと思う。

ー自由度を高めるアクションと洗練された操作性ー

バイオショックシリーズの開発にも携わったことのあるスタジオだけに、FPSとアクションの融合は見事。操作性にもムリが無く、直感的に暗殺者コルヴォを操れるようになるまでにそう時間はかからない。ミッション攻略に幅を持たせる超常能力も個性的で、主観視点でのステルス行動のやりにくさをバランスよく補完している。バイオショックはどちらかというと超能力を駆使して戦闘を楽しむイメージがあるが、本作ではいかに戦闘を避けるためにスマートに立ち回るかに焦点が当てられているため、プレイした感覚はまったく別物で新鮮だった(超常能力が使えるとは言え、主人公コルヴォは結構打たれ弱い)。一瞬で高い屋根の上へ身を隠したり、時を止めて敵のグレネードを投げ返したりするアクロバティックなプレイ感覚は刺激的で、対人シューターに飽きてきた人へぜひともオススメしたい作品と言える。


ー評ー

結論としては大満足の出来だった。最新パッチのおかげで計3周したストーリー中フリーズは一度も無く安定したゲームプレイを楽しめた。興味はあるものの発売時レビューの酷評のせいで尻込みしている方がいればぜひプレイしてもらいたい。ただ、ミッション間の移動やリトライ時に挟まるロードは10〜15秒ほどと長く、チェックポイントからやり直す場合などは少し面倒に感じるかも。それと、日本版でもゴア表現(カウンター攻撃による人体欠損など)があるため苦手な方は要注意(CERO:Zなので)。

ストーリー的にはキレイにまとまっているが、続編にはいくらでもつなげられそうな展開とも読める。海外で多くの賞を受賞した作品なだけに、今後もシリーズ化(スピンオフ)を期待したい。願わくば、次作ではベセスダ特有の発売時におけるPS3版固有の致命的エラーの発生は避けて欲しいものだけれど…。