【レビュー #62】Destiny(PS4)<発売1ヶ月後>

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【レビュー時のプレイ時間】 およそ120h

<総合評価> 4.6 / 5

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
5 5 5 4 4 各/5点中
【良い点】
“ゆるやかな連帯と強固な連携”

本作は、プレイヤーの実力や気分によって多様な遊び方を許容してくれる。
ひとりでプレイしていても、様々なガーディアン(プレイヤー)とつながりを感じることができ、ソロでの気軽さと他人と遊ぶ連帯感を同時に味わうことができる。ジャンルは違えど『デモンズソウル』シリーズの堅苦しく無いマルチプレイが好みの方なら居心地良く遊べるはず。
一方で、ストライクやレイドでは、仲間とがっちり連携を組み、歯ごたえのある難易度を乗り越えて行く達成感・充実感を存分に噛み締められる。

“素晴らしい世界観と音楽”

PS4の性能を引き出した」かどうかはともかく、本作の美術は繊細で美しい。Destinyにおいては、グラフィックの精細さでその価値を図るのではなく、プレイヤーが介入するゲーム世界そのものに見応えがあるため、解像度やフレームレートの問題はまったく気にならない。
どこかのブログで「アートワークがゲーム内でも忠実に再現されている」と述べられているのを見かけたが、まさにその通り。ゲームデザイン上、同様なミッションを反復プレイする場面も多い中で、こうした美術設計の素晴らしさがもたらす影響はかなり大きいと言える。

また、サウンドトラックも壮大な映画を観ているようなスケール感で、どの曲も耳に残る。ボス戦の雰囲気の盛り上げ方もハリウッド的で、プレイヤー自身が戦うガーディアンであることを思わせてくれる高揚感を与えてくれる。
βテストのミッションとして、「End of the Line」が流れるデビルズレイヤーをチョイスした開発陣のセンスは見事(笑)

“シューターとしての快適な操作性”

FPSを代表する作品『Halo』を手掛けたBungieだけに、シューターとしての操作性はいたって快適。各クラス固有の「必殺技」であるスーパーも個性があり、銃撃戦に対する良いアクセントとなっている。デフォルトで強めなエイムアシストが付くので、FPSが初めて(苦手)なプレイヤーでも爽快感を感じながらゲームを楽しむことができる。

【惜しい点】
“ネガティブ傾向なパッチが続くと…”

私もお世話になった「地球穴」の消滅やレイドにおけるボス戦の攻略法等、調整ミスと思われる箇所を後手後手に消していく現在のパッチ方針は、個人的にあまり賛同できない。確かに、ゲームとして不具合やバランスを崩す場面があればそれを正すのは真っ当な対処と言えるが、コミュニティ内で広く共有される手段をあっさりと潰されるのは気分が良いものではない。PvEとPvPを一緒くたにした武器の威力調整へも首を傾げる点が多く、ユーザーの定着率は今後のパッチの方向性によって大きく変化しそう。

“競技感の薄いPvP

一部の武器種の強力さやクラスによるスーパーの性能差などにより、FPSとしての純粋(?)なエイムや立ち回りのスキル差を実感しにくい。他のFPS作品でもいわゆる強武器・強キャラクターへ偏る場面は有るとは言え、ここまで露骨に能力差がありすぎると勝っても負けても熱中度は低い。(パッチにて変更予定ではあるが)マッチ後に獲得できるアイテムが成績関係無くランダムというのも腕に覚えのあるプレイヤーほど興が削がれ、モチベーションの持続も難しい。PvEとPvPのバランスの良い両立は理想だが、現時点ではかなかに困難な課題だと思われる。


【総評】

発売日からほぼ毎日プレイし続け、未だに新鮮な楽しさはあるものの、武具のバリエーションの少なさや繰り返されるミッションの単調さによって12月リリース予定の第1弾DLCを待たずにプレイが遠のく畏れあり。ましてや、従来シリーズから大きく変化を遂げ、シューターファンからの期待も高まる『CoD:AW』の発売も目前に迫っており、あちらの作品の出来次第によってはPvPをメインにプレイする層は一気に離れそう。

発売直後に比べたら惑星をパトロールするガーディアンの数も減り、Destinyをきっかけにフレンドになった方達も1ヶ月後の今アクティブにプレイする方は1/3ほどに…。想定よりコンテンツ量に対するユーザーの消化スピードが早いのかもしれないが、このペースだと『The Dark Below』の頃にはレベル30のガチガチ装備を身に纏ったガーディアン しか 残っていなかったりして…。