【レビュー時のプレイ時間】 30h
<総合評価> 4.0 / 5
独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 | |
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3 | 5 | 4 | 4 | 4 | 各/5点中 |
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*良い点*
*残念な点*
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チベットやネパールを彷彿とさせる神秘的なロケーション
土着の信仰を重視した密教的な神秘さを持つ南アジア(と思われる)の舞台が新鮮で、そうした地方の文化や信仰に興味があったのでより楽しめた。もちろん、特定の宗教を想起させる要素は排されており、そうした雰囲気が苦手な方でも抵抗を感じることは無い。
昼夜変化により美しく映える荘厳な大自然
前世代機でリリースされた前作においても優れたグラフィックだったが、現世代機で表現される大自然はより美しくなっている。特に陽光がリアルで眩しく、グライダーやブザーで高所を滑空しながら見渡す自然は壮麗。動物のモフモフ感や凶暴さの表現も増しており、カジュアルなハンティングゲーとしてもクオリティが高い。
気分を高揚させるBGMと高品質な吹き替え
前作のケシ畑を焼き払うシークエンスほどの強烈さは無いものの、時折流れるサイケなBGMはファークライ的センス。日本語吹き替えもキャラの個性とあっており、違和感無く物語に集中できる。他のオープンワールドゲーほどキャラクターの密度は高くない反面、すべてきっちりと吹き替え・翻訳されている点は評価できる。地味ながら、銃の発砲音もバリエーション豊富。
馴染み易いFPS操作とシンプルなビークル操作
コントローラーはいわゆるオーソドックスなFPS操作であり、ゲームにすぐに馴染める。加えて、ビークルの扱いはボタンではなくスティックを倒すだけのシンプルな操作な上、目的地を設定すればオートドライビングも可能。
膨大な収集要素と豊富なサイドミッション
ゲーム内の達成率(収集物、サイドミッション)を100%をするためには、恐らく50時間近くはかかりそう。
前作と代わり映えしないゲームプレイ
敵の種類や行動、プレイヤーの習得スキルやモーションが前作とほとんど変わらないので、ストーリー攻略や敵基地解放などのアクティビティの対処法に変化が生まれない。ステルスでもランボーでもスタイルを問わず楽しく遊べるとは言え、プレイ内容がほとんど前作と同じなので、どうしてもマンネリ感を抱いてしまう。それと、昼夜の変化が敵や動物の行動に影響を与えない点や雨や雪といった天候変化が無い点も、変わり映えしない印象を強くしている。
個性はあるがインパクトに欠ける敵役の存在
今作では、前作のバースのような強烈な個性を持つキャラクターと、さらにその背後で牛耳る黒幕の存在といった眩暈がするほどの「悪」が不在。また、主人公の出自や敵役パガンとの妙な親近感などもあって、シリーズが秘める「狂気」も物足りない。こうしたことから、海外メディアからのレビューでも指摘されている通り、今作のエンディングがもたらすカタルシスや充実感は満足のいくものではない。
共闘感の薄いCO-OPと色々と惜しいマルチプレイ
自分がキャンペーンを進めているフィールドにそのままパートナーを呼び込める今作のCO-OPシステムは、自由度が高いながら、1人でも十分クリア可能なミッションをあえて協力する目的が見出しづらい。個人的には、前作の様にCO-OP専用ストーリーを4人程度で競い合いながら協力していくスタイルの方が面白かった。
一方で、マルチプレイには可能性を感じる。ドミネーションやCTFを変則的にしたルールは意外にも面白く、ラウンド毎に能力が異なる勢力を交代する展開は目新しい(同社『SC:BL』の「スパイvs傭兵」と似てる)。UIがスマートではなかったり、マップの広さとプレイヤー数が噛み合ってなかったりと、正直現状の出来では長く遊ぶ意欲は湧かないが、次作での改善次第では虜になるプレイヤーも増えそうな気はする。
【総評】
およそ30時間のゲームプレイはとても楽しかったのだが、やはり前作が及ぼす既視感はかなり強かった。同社の『アサシンクリード』同様、今作も作品としては完成度が高いので、他のIPとリリース周期を調整しつつ今後の展開を図っていってほしいもの。
ちなみに、今作のマルチプレイでは上述した通り万人受けしないながらも尖った魅力のある対戦モードを搭載している。『Watchdogs』の1vs1ハッキング合戦も斬新で熱いものがあったので、UBIのディレクションの優秀さに疑いはない。まあ、もう少し細部まで手を入れることを惜しまなければ、個々の作品の魅力がさらに高まるのになぁ…と思ったりもするのだけれど。