【レビュー】Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-

『Everybody's Gone to the Rapture -幸福な消失-』のレビュー。
(ネタバレ有り)


【レビュー時のプレイ時間】 10h
<総合評価> 4.0 / 5

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
4 5 5 2 4 各/5点中


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*良い点*
  • アンリアルエンジン クライエンジン で作り込まれた1980年代イギリスの片田舎の風景が美しく、まるで当時にタイムスリップしたかのような観光気分を味わえる。オブジェクトの質感や光の反射もフォトリアルで、PS4スクリーンショット機能を使いながらお気に入りの景色を求めて散策しているだけでも楽しい。
  • 住民が忽然と姿を消し、吸いかけのタバコが煙を上げ「つい先ほどまで誰かが居たような」生活感が残る世界は、不気味で他のゲームでは得難い寂寥感を持つ。そもそも、プレイヤー自身の実存すら危うさがあり、ゲーム内でガイド的な役割を果たす光の球体と同様に、不思議なフワフワとした没入感がある。
  • 非常に音楽が素晴らしい。プレイヤーの歩調やチャプター(厳密に言えば章立てになっている訳ではないが)毎に焦点が当てられるキャラクターの変化に合わせて、シーン一体となって雰囲気を盛り上げる。むしろ、場面に合わせた音楽と言うよりも、音楽に合わせて場面が変わると表現しても過言ではない程、その移り変わりが自然で絶妙。
  • 日本語吹き替えも秀逸。本作で登場するキャラクターはぼんやりとした光の輪郭のみで、背格好や表情が判別できないため、発する声やセリフがとても重要になってくる。そうした中で、声を聴くだけでおおよその年齢や性格が何となく分かるような配役と演技は見事。本作に限ることで無いが、日本語ローカライズされた作品にはそのキャストの表記も加えて欲しいところ。
*惜しい点*
  • プレイヤーの歩く速度が異常に遅い。マップのスケール感や作品の牧歌的で不気味な雰囲気に合わせてスピードを調整したのだろうが、海外レビューでも指摘されていた通り、操作する側としては苦痛でしかない。リリース後に開発元からR2ホールドで走れることが明らかにされたものの、これも「速い」と感じるほどの快適さは無く、建物内や特定の場面では歩きを強要される。本作では【歩く・調べる(インタラクトする)・6軸を傾ける】操作しかないのだから、もう少し入念な調節が必要だった。
  • 物語の発生と結末が断片的であり、プレイヤーが語られない部分を考察や想像で補わなければならない。シナリオ的には「突然、未知の存在が干渉してきて人間を脅かすものの、それはウィルスや病原体のような悪種ではなく、人智を超越した神のように内在するものであり、それぞれに訪れる最期(終末)は救い<でも>ある」といった感じか。セリフと風景のみで物語を成立させる意図は開発元の制作思想なのかもしれないが、プレイヤーの理解を促進させる工夫は十分とは言えない。

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*総評*

タイトルと公開されたスクリーンショットの雰囲気に誘われて購入した。
トーリーはともかく、探索するだけで癒される風景の美しさには満足しており、今後アップデートで歩行速度が改善されるようなら、まだまだ歩き回りたいと思っている。
個人的には2,000円の価値はある作品であり、この開発元の動向にも興味が出てきた。

ただ、プレイヤー本位ではない操作性と示唆的な物語のおかげで、本作に対する評価は大きく分かれる気がする。


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