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まいにちコントローラーを握りたいゲーマーのプレイログ

【本】さらっとブックレビュー vol.2 『ここは退屈迎えに来て』

読書

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

地方都市に生まれた女の子たちが、ため息と希望を落とした8つの物語。フレッシュな感性と技が冴えわたるデビュー作は、R-18文学賞読者賞受賞作「十六歳はセックスの齢」を含む連作小説集。

ここは退屈迎えに来て | 株式会社 幻冬舎

感想

どこにでもあるような風景の地方都市を飛び出し、必ずしも理想通りとは言えなかった東京での生活を送った身としては、登場人物たちの感覚がリアル過ぎて思わず苦笑いしてしまう。自分がかつて抱いていた都会への憧憬、地方に戻ってきた後に感じるやるせない空虚感、そして拭い去れない地元への愛着など、どれも痛いほどよく分かる。

それに、作者はことさらに都会を賛美し、ニヒリスティックに没個性的な田舎を卑下しているわけではない。それぞれの物語を緩やかにつなぎ合わせる存在として描かれる「椎名」という魅力的な(だった)男の子を通じて、そういった環境を愛おしむかのような作者の温もりが感じられる。ともすると、イマ・ココにおける“妥協”や“諦め”といった感情を伴いそうな内容だが、個人的にはこれまでの境遇を肯定してくれるかのようなスカッとした読後感だった。

ただ、生まれやこれまでの環境、生活の充実度(リア充!)によっては、共感できないどころか理解できな作品であるかもしれないけど。