読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

GAMELiFE 365

まいにちコントローラーを握りたいゲーマーのプレイログ

【本】さらっとブックレビュー vol.5 『ぼくは本屋のおやじさん』

22歳(1969年)ロックグループをやめ、小さな書店を始めた著者の奮闘記。置きたい本が入荷しない小さな店のもどかしさ。冊子『読書手帖』を作って客とふれあい、書店主同士で通信を作り交流。再び歌手を始めるまでの22年間で学んだ大切なこととは。文庫化にあたり、エッセイ8本と「早川書店」のブックカバー等を収録(絵=藤原マキ)。

★感想★

初版は1982年に晶文社より発行された本。

繊細な感覚と飾らない人間臭さが表現された文章は読んでいて心地良く、エッセイというジャンルが苦手な私でも著者の感性にとても惹かれた。本屋論にありがちな高尚な意識や文化的担い手を自負することもなく、むしろ、著者のそもそもの開店動機は「実際、本屋をはじめる前に夢に描いていたことは、店は小さく、たばこ屋兼本屋みたいな、できれば、好きな本だけを集めたような、あまり売れなくてもいいような、猫でも抱いて一日中坐っていれば、毎日が過ぎていくような、そんなのどかなことを考えていた。」というものなので、読み手も肩肘張らずにリラックスしながら楽しめる。

それと、私自身過去に本屋へ勤めていた身としては、本書の出版から30年以上経った現在でも出版流通の内情が当時からほとんど変わっていないことに驚く。20代前半で本屋を開店した著者は、本書にて業界の不条理や著者が考える商売のスタンスを淡々と述べているが、本屋という仕事に関わった経験のある方(本屋という空間が好きな方)なら「うん、うん」と共感できることもたくさんあるはず。

これまでは世代的に著者のことをほとんど知らなかったものの、本書の雰囲気やYoutubeに上がっている情感ある歌声を聴いて、何となくその魅力が分かったような気がする。

早川義夫公式サイト

広告を非表示にする