【レビュー #77】ライフ イズ ストレンジ

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『ライフ イズ ストレンジ』のレビュー。

【レビュー時のプレイ時間】 10h
<総合評価> 4.0 / 5

(項目) 独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
(評点/5点) 4 4 5 3 4
いいね!
  • 任意に時間を巻き戻して、自分が行った選択を変えられるという演出が新鮮。フローチャートなどが搭載されているアドベンチャーゲームであれば「ゲーム」として同様なことは可能であるが、プレイヤー自身にもその感覚をフィードバックさせるという意味ではメタ的でなかなか面白い試み。主人公のこの能力を使った謎解き(ギミック)なども随所に盛り込まれており、会話を辿るだけの単調なプレイに終始しないのもグッド。
  • 蝶のはばたきが竜巻の発生に影響を及ぼすという“バタフライ効果”そのままの物語を、センチメンタルな青春劇・サイコサスペンスと融合させたストーリーテリングは見事。マックスの独白やクロエとの掛け合いは見ていてほっこりすると同時に、プレイヤーへもその年代特有の感覚を思い起こさせるようで何だかムズ痒い(笑)ラストシーンでは究極的な選択を迫られるけれど、どちらも選んでもプレイヤーの意に沿ったエンディングが用意されており、ハッピーエンド・バッドエンドという単純な対比ではないところも素敵。『ラスト・オブ・アス』の結末に納得できた方なら、本作の終わりも感慨深いと思う。
  • アンティル・ドーン』のような実在の俳優をキャプチャーしたリアルなモデリングアドベンチャーゲームも良いが、本作のようにトゥーン調にデフォルメされたモデリングも温かみがあって良い。マックスやクロエ、ケイトなどの女性キャラクターの可愛らしさは上手く表現できているし、洋ゲーによくあるバタ臭さ・和ゲーによくあるアニメっぽさを上手く中和している好意的なデザイン。日本のサブカルチャー文化に親和的で、ゲーム内でもそうしたネタが散見される通り、さすがフランスのデベロッパー産と言ったところか。
  • BGMのセンスが抜群。それぞれのシーンを盛り立てるというよりも、展開やキャラクターの心情に沿ったような自然な使われ方で仰々しさがない。また、日本語吹き替え(字幕)は作品の雰囲気やキャラクターの個性を感じ取れる優れた演技で、ローカライズとしてはかなりのクオリティだと感じる。やるな、スクエニ。(ただ、2chで使われるようなネットスラングをセリフとして喋らせるのはちょっと寒いかな!)
おしい!
  • 他のアドベンチャーゲームの仕様にも多いが、特定場面では強制的に歩行スピードが制限される(=走れない)のはストレスを感じることも。
  • せっかくの優れた吹き替えなのに、主人公マックスが力んだり、驚いたりする時に口にする‘感嘆詞”が英語(?)なのは違和感がある。そういったシーン自体はほとんど無いものの、急にトーンが下がって低い声になるとちょっと驚く(笑)

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★まとめ★

日本に先駆けて海外で一足早く配信されていた時から気になっていた本作だが、期待通りの良い作品だった。少年期の終わりに、不思議な力を手に入れ、理想と現実の間でもがくという映画や文学で使われた王道的なプロットでありながら、それをノスタルジックで優しいゲーム作品へ仕上げたDONTNOTには拍手を送りたい。

カプコンと組んだ処女作『Remember Me』では注目を浴びながらも微妙な評価だっただけに、ようやく本作でそのセンスを発揮した感がある。次作はジャンルをガラッと変えて吸血鬼を題材としたRPG『VAMPYR』ということで、本作で築いた評価を確かにする作品としてほしいもの。

ということで、良心的な値段と共にとてもおすすめできる作品。