【レビュー #80】『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』

f:id:pigro10:20010506112350j:plain

アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』のレビュー。

【レビュー時のプレイ時間】 35h+マルチプレイ3h
<総合評価> 4.3 / 5

(項目) 独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
(評点) 3.5 5.0 4.0 4.0 5.0
いいね!
  • PS3時代からはじまり、VITAのスピンオフ含めてシリーズ5作の主役を務めてきたネイトの最後の冒険ということで、シリーズの集大成とも呼べる完成度。毎度お馴染みのコントローラを握る手が汗ばむほどのハラハラするシチュエーションや映画さながらのダイナミックな演出、掛け合いが楽しい日本語吹き替えなど、シリーズの素晴らしい要素がPS4のパワーを使ってこれでもかと楽しませてくれる。また、シリーズ最終作で初登場となるネイトの兄・サムの存在もネイトの葛藤、兄弟愛を描くのに良いアクセントとなっており、ノーティは『ラスト・オブ・アス』で培ったストーリーテリングやドラマ手法を本作へも巧みに取り込んで、これまではネイト一人の物語だったものを、ネイトを取り巻く周囲との物語へと仕上げている。前作からネイトの幼少時代を振り返るチャプターはあったものの、個人的に物語への組み込みが上手くいっていない印象を受けたが、今作ではサムの登場もあり、なぜネイトが“ドレイク卿の末裔を名乗っているのか”が明らかにされるシーンはとても感慨深かった。
  • 前世代機のPS3でもファーストスタジオとしてのクオリティを見せつける凄まじい映像表現だったが、PS4となった今作では自分がこれまでプレイしてきた(目にしてきた)PS4フォーマットの作品の中でもトップとも言えるクオリティであり、人物の表情や肌の質感、自然なモーション、壮麗なロケーションとどれをとっても期待を裏切らない。『ラスアス』でも感じたことだが、素人の主観ながらノーティの「色使い・画作り」というのは優れた芸術的なセンスのように思え、単にフォトリアルやシネマティックにするだけではない一貫した美意識のようなものがうかがえる。
  • 相変わらずゲーム開始時を除いて一切ロードを挟まない切れ目のないゲームプレイなので、プレイする側としては止めどきが見つからないほど。本シリーズが「プレイする映画」と評されて久しいが、そうした評価は演出やグラフィック以外のこうした配慮もあってのこと。加えて、『ラスアス』と比較して味方AIの動きが改善されており、敵陣をステルス重視で切り抜ける際も(挙動不審な味方のせいで)緊張感が削がれることも少ない。
おしい!
  • 壁登りや飛び移りといったアスレチック要素は今作でもふんだんに盛り込まれているが、さすがにシリーズを通してプレイしていると「どうせここも崩れるんでしょ(笑)」と分かり易い展開にマンネリを感じる部分も。今作で導入されたロープスイングも手軽な操作で迫力ある動きができるとはいえ、根本的な改善や目新しさとまでは言えない。同じく壁を登っている時間の長いゲームとして『アサシンクリード』があるが、あちらは直近の2作では大分操作として洗練されていたので、今作においても何らかの変化が欲しかった。(『アサクリ』のパルクールアクションと比べるのは方向性が異なるかもしれないけど)

f:id:pigro10:20010506112400j:plain

★総評

シリーズの完結作として相応しい出来栄えで、いちファンとしてもスタッフロールが流れたときには満足感と寂しさを同時に味わった。エピローグの内容もこれまで過酷な冒険をしてきたネイトを労う意味でも、あのような視点を設けたのはドラマ的にも良かったと思う。

ただ、ゲーム的な内容で欲を言えば、劇中の会話で選択肢が選べる場面がもっと欲しかった。マルチエンディングでないからこそ、気兼ねなく色んな選択肢が選べるし、何より愉快な吹き替えによる異なる展開をもっと観たかった。

今後はシングルキャンペーンの追加ストーリーやマルチプレイCo-opモードの配信が予定されており、まだまだ今作を楽しむことは出来そうなので、気長に待ちたいと思う。