【レビュー #88】NieR Automata

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『NieR Automata』のレビュー。

発売日 2017年2月23日
ジャンル アクションRPG

ヨコオタロウ氏が手がけカルト的人気を誇る『DoD』から連なるシリーズ最新作で、2010年に発売された『NieR Replicant(Gestalt)』の続編。今作の開発はアクション作品に定評のあるプラチナゲームズが担当しており、独特な世界観だけでなくアクションRPGとしてのクオリティも高めている。

また、言うまでもなく、ストーリーや演出には相変わらずの「異質さ(褒め言葉)」を秘めており、会話やテキストの節々に人間の醜悪な部分や狂気を感じさせるような「毒」が多く含まれている。可愛らしい2Bや9Sといったキャラクター、幼児が描くようなシンプルすぎる造形の敵機械生命体、特筆すべき美しい音楽、爽快感のあるスタイリッシュアクションといった様々な要素がこれらの「毒」と混ざり合い、今作ならではの「異質な(褒め言葉)」物語体験を提供してくれている。

しかしながら、ゲームとしては調整不足な点も目に付く。個人的に特に気になったものは、現行機の作品でありながら前世代のアクションゲームのような見えない壁や非接触オブジェクトが多くルートが限られることと、ダンジョン内とフィールドの行き来が不便な点。この2点を改善するだけでもテンポが良くなり遊びやすくなったと思うので、少し残念。

以上、全体として見れば昨今の大型RPG作品と比べて規模感や作り込みに物足りなさはあるが、そこは今作(本シリーズ)が宿す秀逸な「異質さ(褒め言葉)」によって十分補われている。アクションRPGというジャンルを忘れるくらいに盛り込まれるシューティングゲームや唐突に始まるお決まりのサウンドノベル、ゲーム内で直接トロフィーを買える仕様など、色んな部分で突き抜けたゲームデザインのためユーザーからの賛否が分かれるのは致し方ないが、私としては待ち望んでいた続編としてのニーズは十分満たしてくれたので、とても満足している。

満足な点
  • 『NieR』の世界観が持つ異質で退廃的な美的感覚。
  • 物語の軸となる2B、9S、A2のキャラクター的魅力。
  • お手軽で爽快感のあるスタイリッシュなアクション。
  • 感傷的で美しい音楽。前作を象徴する一部楽曲が再び聴けるのも熱い。
  • ファンサービスに止まらず、物語の一部としてしっかりと組み込まれた前作キャラクターの存在。
残念な点
  • 意図的に繰り出せる「技」が無いため、戦闘の組み立てが単調。
  • ファストトラベルの仕様やマップ設計による移動の不便さ。
  • オンライン要素「義体システム」の蛇足感。
評価
項目 独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
評価(良:☆ ◎ ○ △)

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最後に

1周目(Aルート)のエンディングが予想していたよりもキレイに終わったので「あれ?」と思ったものの、3周目(Cルート)からはやはり『NieR』だった。ウェポンストーリーではテキストだから許されるであろうエグい描写が書かれていたりするのも流石。喪失感や虚無感といったプレイヤーの心象へダイレクトに響いてくる感情をこれほどまでに掻き立てるゲーム作品は滅多に出会えないため、ぜひともヨコオ氏には本シリーズを継続して作っていただけることを願う。
(可能であれば、もう一度プラチナゲームズとタッグを組んで)

それと、今作のDLC製作が決定しているようだけど、コスチュームや追加アイテムのようなものになるのかしら?今作発売前にヨコオ氏が冗談とも受け取れない「有料ガチャエンディング」について話していたこともあり、通常では考えられないものが配信されるかも…。

www.famitsu.com

個人的には、今作の爽快なアクションとチップ集めが楽しかったので、ハクスラに特化したランダム生成の追加ダンジョン的なもの(プレイヤーキャラクターも2B・9S・A2を自由に選べる)が実装されたら嬉しいなあ。