【レビュー #104】Apotheon

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発売日 2015年2月3日(日本未配信)
ジャンル アクション
開発元 Alientrap

『Apotheon』(北米版)のレビュー。

優れた点・残念な点

壺絵風の独創的なアートスタイル

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目を引く特徴的なアートスタイルの作品。
調べたところ、古代ギリシアの壺に描かれた絵画をモチーフとしている模様。

黒絵式 - Wikipedia

この特徴的な美術は2D横スクロールのゲーム画面とも上手く融合しており、まるで絵の中に紛れ込んだかのような不思議な感覚を与えてくれる。

インディー系作品において本作のようなメトロイドヴァニアは人気ジャンルのようだが、古代の芸術様式でユーザーの心を捕らえる作品というのは類を見ないのではなかろうか。

ギリシア神話をベースとした人気作品としてド派手な3Dアクションと写実的なグラフィックが魅力の『God of War』シリーズがある中、壺絵の雰囲気を生かして神秘的な神話世界を表現した開発元のアプローチは見事といえる。

単調な戦闘に刺激を与えるボスギミック

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本作はアクションゲームではあるが、戦闘における技の派生や武器毎の攻撃バリエーションはまったく無く、差があるとすれば振った時のリーチや投擲した時の軌道くらい。

また、経験値によるレベルアップやスキルツリーによる能力強化も存在しないため、あえて敵と戦うメリットを感じにくい。

しかし、エリアのボス戦となる神々との戦いにおいてはユニークなギミックが用意されており、単に武器を振り回したり投げつけたりといった行動では倒せないようになっている。

ボス戦だけでも戦闘が楽しいのは救いだが、普段の戦闘においてももっと駆け引きや爽快感を重視してほしかった。

アクションと操作性は改良が必要

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上にも書いた通りアクションが単調なことに加え、敵の動きが「いかにもCPUっぽい」というのも興ざめな点。

こちらが攻撃しようとボタンを押したと同時に回避行動を取ったり、距離を詰めようとジャンプをしたら敵も同じタイミングで後方へ飛び退いたりとAI臭さをまったく隠そうとしない行動はちょっと露骨。

ただでさえ曖昧な当たり判定や攻撃後の硬直に悩まされるので、軽やかに動き回り的確に当ててくる敵の動きはストレスとなる。

さらに、コントローラーでの操作に最適化されたとは言い難い武器の切り替え、クラフトやマップ確認は一時ポーズしなければならないテンポの悪さなど、細かい不満も目につく。

作品の視覚的な魅力は大きいのだから、アクションや操作性の面においてもその魅力と釣り合うようなブラッシュアップが必要だったといえる。

総評

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作品全体として見れば開発元の実現したかった世界観は概ね楽しめるようにはなっているものの、上記にて指摘した点や遭遇した技術的な不具合(※)のおかげでプレイ後の満足度はやや物足りない。

本作の独創的なアートスタイルに興味を持つユーザーは少なくないだろうから、ビジュアルだけに留まらないアクションゲームとしての面白さをより追求していれば、一層高い評価を受けられたものと思われる。


(※)遭遇した不具合

  • 敵の攻撃を受けてノックバックし、侵入不可エリアに入ってしまい復帰できなくなる。
  • ボスギミックに必要なオブジェクトが埋没し、攻略不可となる。
  • サブイベントのフラグ管理が適切に機能しない。


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