【レビュー #1】クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-

はじめから結末が分かっているゲームというのも珍しい。

主人公であるザックスがどうなるかは、11年前(!)に発売された『ファイナルファンタジー7(以下FF7)』を体験した方ならご存知のハズ。
かなりの期間を隔てているので、私は詳細な記憶が曖昧だったけれども。

歴代『FF』の中でも人気の高い『FF7』を題材としたコンピレーション作品だということを差し引いても、ゲームとしての質は総じて高い。
ストーリーのテンポも良く、いかにしてザックスの物語が後のクラウドの物語(FF7本編)へ繋がるのか、初登場のキャラクターたちを交えた悲劇は見所も多い。

ゲームシステムはアクション寄りの操作性になっており、フィールド中を自由に動き回れる。マップ上で敵とエンカウントし、そのままシームレスにバトルへ突入するスピーディな展開は、イメージ的に『キングダムハーツ』に近い感じ。

それと、何よりも驚いたのがグラフィックのクオリティの高さ。映像作品であった『アドベントチルドレン』並みのCG映像が随所に挿入され、ムービー以外のデモシーンや戦闘画面でも、キャラクターのモデリングPSPソフトの中でも最上位に位置する。
惜しむらくは、ゲーム中のムービーを自由に再生できる機能が無いこと。あれだけの美麗なムービーなのだから、繰り返し鑑賞できれば尚良かった。

残念な点としては、ストーリーとは独立した存在のやりこみ要素である「ミッション」のバリエーションが少ないこと。延々と同じようなマップを行き来し、同じような敵を倒すのはやや飽きがくる。
「ミッション」を進めていくことで最終的に戦えるようになる隠しボス(ストーリーのラスボスよりはるかに強い)を倒すまでには、ストーリーをクリアする以上の時間をかけなければならないため、少しずつ消化していくのが得策と言える。

物語の時系列的には『FF7』の前日譚なので、本作からプレイしても問題はない。
携帯機でこれほどまで質の高いゲームが遊べるようになったことに驚きながら、爽やかで切ない男たちの友情に涙した。