【レビュー #21】Tom Clancy's Splinter Cell Classic Trilogy HD

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リージョン アジア版 言語 英語 評価 ★★★★☆

PS2の時から「スプリンターセル」シリーズの存在は知っていたものの、当時は同ジャンルである「メタルギア」シリーズと比べてキャラクターに魅力を感じなかったのと、洋ゲーへの取っ付きにくさで敬遠していた。

このトリロジーを手にしたきっかけとしては、XBOX360でのみ発売されている『スプセル:コンヴィクション』の存在がある。
スタイリッシュでスピーディなステルスアクションと洗練されたヴィジュアルに刺激され、かつての古いイメージは払拭された。

本当は360を買ってまで『コンヴィクション』をプレイしたいところだったのだが、あいにく据置機を2台並べるスペースは無く、また主要なタイトルはマルチ展開されている現在において、そこまでの踏ん切りはつかず。

であれば、かつて食わず嫌いしていた過去作に手を出してみようということで本作をプレイ開始。

XMBからディスク起動後、3つの収録作からタイトルを選択。
画面には「×ボタン=SELECT」と書かれているのに選択は○ボタン。
誤植なのか、日本本体での起動でのみ発生する不具合(?)なのかは不明だが、ゲーム内での決定ボタンやオブジェクトへのインタラクトは3作すべてで×ボタンなので、恐らく後者の現象の気がする。

他のHDリマスター作品にも共通するように、一世代前の操作性やカットシーンの画質の低さには目を瞑るにして、実際にプレイしてみるとそのステルスアクションの完成度とリアルな潜入感に驚かされた。


まず、「できること・やらなければいけないこと」にリアリティがあり、潜入するための必然性が感じられるため、細かく段階を踏みながら目的を完遂するプロセスが楽しい。
派手さはなく地味な作業が多いが、かえってそれが工作員であるサムとプレイヤーを同化させてくれる。

そして、サムが工作活動を行うシチュエーションやロケーションも現実味があり、そこでは非現実的な「ボスキャラ」との戦闘も待っていない。
強制的な戦闘シーンはいくつかあるものの、それでさえもプレイヤーの機転と戦略で回避できるものがほとんど。
戦うことで達成感を得るゲームが多い中で、戦わないことでそれらを得られるゲーム性は素晴らしい。

ヒットマン」シリーズのようなサンドボックス型ではなく、「メタルギア」シリーズのように無線で指示を仰ぎながら任務を遂行していくリニアなスタイルのため、ゲームプレイが単調であるという指摘は致し方ない。

とは言え、至高のスリル感を与えてくれる作品であったことを身を持って実感。
メタルギア」と「スプセル」はよく比較されるようだが、どちらにも代え難い要素があることを理解できたことが何よりの収穫。
小島監督の言うミームの違いか)


本作をプレイ中、タイミング良くE3で新作『ブラックリスト』の発表。
マイクロソフトのカンファレンスで初披露だったため、またXBOX独占かとがっかりしたが、今作はマルチ展開してくれるということで歓喜

前作からシリーズのスタイルを大きく変えアグレッシブになったスプセルだが、前作を未プレイな分『ブラックリスト』への期待は大きい。
声優も渋いマイケル・アイアンサイドから変更になったようで、気分一新で楽しめそう。

未だに日本での発売アナウンスがないけれど、ローカライズに定評のあるUBIJなら良い仕事をしてくれるハズ。

……願わくば『コンヴィクション』もPS3にリリースしてくれないかしら。
(新作とのWパック的な何かででも)