プレイ環境
リージョン | 北米版 | 音声 | 英語 | 字幕 | 英語 |
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評価 5.2 / 10
独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 |
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3 | 3 | 3 | 2 | 2 |
短評
尖った個性があるように見えて実際はオーソドックスな(というか1年前の作品とは思えないほど古臭い操作性とシステムの)作品であり、著名なクリエーター同士の長所が上手く統合できていない印象。特に演出に優れた訳でもないカットシーンが飛ばせなかったり、オープニングでクリエイターの名前を毎回見せつけられたりと作り手のエゴが目立つ作品であり、SUDA51の名前を知らない(興味が無い)人はスルーすべき作品と言える。
独創性
SUDA51氏が描くエログロ満載の地獄のラブストーリーは、ベタで馬鹿馬鹿しくありながらも「この人ならではの作品」であることを感じさせてくれる。
いわゆるグラインドハウス風のB級臭ただよう世界観が好きな人にオススメ。
狙って滑っている感もあるものの、それすらも氏のノリと捉えれば楽しめる。
ちなみに、当初の構想は以下だった模様。
須田:
実は僕が最初にやろうとしていた世界って,ファウストに近かったんですよ。もともとフランツ・カフカの「城」を原案にしようと思っていて,さらに人体改造もテーマにして,現代と違うテクノロジーがあって,時代はこの19世紀くらいで,男が城に向かうという設定で。そこから,悪魔の世界に入っていく物語に変わっていったんです。*1
題材としては面白そうだが、ゲームデザインとしてまとめきれなかった感あり。
海外を意識したシューターというジャンル、パブリッシャーであるEAとの関係、有名クリエイター同士のコラボレーションなどの様々な要素が枷になり、全体として消化不良な作品となってしまった印象。
【 3 / 5 】
映像性
肝心の地獄の風景は中世のヨーロッパの町並みや鬱蒼とした森がほとんどであり、目を背けたくなるような絶望や気持ち悪さは無い。
神曲をモチーフにした『Dante"s Inferno』の方がよっぽど雰囲気がある。
(こちらも恋人を取り戻す地獄巡りであり、パブリッシャーもEA)
挙げるとすればポーラの乳首が露になるポルノ表現。
ヒロインの裸体の上をプレイヤーが歩く演出はなかなかエロい。
(日本ではもちろん規制入り)
海外作品で女性の乳首、乳房の描写は結構あるが、日本人クリエイターがここまで直接的にゲームの中で表現するのは珍しい。
【 3 / 5 】
音楽性
著名な作曲家とのコラボレーションの割には、意外と耳に残らない。
ラテン調の時に激しく、時にせつない楽曲はそれぞれ良い出来なのかもしれないが、何せ物語への没入感が低いため音楽にも興が向かない。
【 3 / 5 】
操作性
本作の魅力を減じている大きな要素は操作性の悪さ。
TPSジャンルも成熟している1年前に出たソフトとは思えないほど直感的に動けない。
まさにバイオハザード4、5の操作性そのままで、アクションの連続性に欠けるために爽快感も薄い。
敵もプレイヤーの目の前で立ち止まってくれる優しさのため緊迫感も無い。
また、回避のモーションの無敵時間が長いことで敵の動作を見切る必要性も無く、適当に回避ボタンを連打していればダメージを喰らうことがほぼ無いこともアクションの底の浅さを感じさせる。
ハードが高性能になり、プレイヤーの操作の自由度も上がったのに、このような制限ある動きでサバイバル感、ホラー感を演出しようとするのであれば、それは作り手の感覚がズレているように思えてならない。
【 2 / 5 】
熱中度
上記の操作性の点からもプレイへの熱中度は低い。
また、武器のカスタマイズも用意されておらず、物語の進行によって強制的にアップグレードされる仕様は自由度や達成感をもたらさない。
何度も挿入される横スクロールシューティングも正直くどくて嫌になる。
【 2 / 5 】
コメント
希有な能力を持った人同士が集まっても必ずしも素晴らしい作品が生まれる訳ではないことを証明した一作。
つまらない訳ではないが特筆すべき魅力も語りにくい難しいタイトルであり、開発に携わった三上氏のインタビューからも本作が思ったようなものに仕上がらなかったことが伺える。
Did Shadows Of The Damned, your collaboration with Suda51, turn out as you'd initially intended?
No, it became a completely different game. That was a bit disappointing. I think Suda was unable to create the scenario he'd originally had in his head,and he rewrote the scenario several times. I think his heart was broken. He's such a unique creator, so it seems to me that he was not quite comfortable with making this game.*2
なんだか勿体ない残念な作品だったなあ。