【レビュー時のプレイ時間】30h(プラチナトロフィー)
<総合評価> 4.4 / 5
独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 | |
---|---|---|---|---|---|
4 | 5 | 5 | 4 | 4 | 各/5点中 |
+良い点;
- Ken Levine氏が書き上げる考察必至のストーリー。過去シリーズと舞台や雰囲気は違えど、狂気をまとった人物が織りなす複雑な物語は『Bioshock』ならでは。考察やネタバレを読んだあとのリプレイで、序盤から仕込まれた伏線に気付いたときには思わずニヤリ。
- 奇怪なのに愛らしい独特なキャラクターデザインは健在。(相変わらず)まともな人物が少ない中で、可愛らしいエリザベスの存在はまさに華。
- 音楽のセンスが素晴らしい。あらゆる場所に置かれた蓄音機から流れるのんびりしたオールドスクールな楽曲は心地よく、対照的に戦闘シーンやアクションシーンの緊迫感あるBGMはゲームへの没入感を高めてくれる。
- 銃撃やビガーのダメージが数値で表され、カジュアルでアーケードライクなシューターに仕上がっていて遊び易い。能力を上手く使えばプレイヤー側が圧倒的に有利に立ち回れるシーンがほとんどなため、ガンガン攻めながら爽快感あるプレイが楽しめる。
- 丁寧なローカライズ。日本語吹き替えはもちろん、ポスターや看板などへ視点を合わせると字幕が表示されるの点も親切。
- コンパニオンとして戦闘に参加するエリザベスのAIが優秀。プレイヤーの視界を遮ることもなく、適切なタイミングでソルトやライフ、弾薬を回復させてくれる。強いて言えば、エリザベスの能力である「ティア」はプレイヤーが任意で発動できるものではなく、エリザベスのAI行動によって制御されるものであればより面白かったかも。
- 能力を拡張できる「ギア」は、よりRPG的で良いアクセントとなっている。
-悪い点;
- 武器が2種しか携行できない。多数のカテゴリ武器があるにも関わらず2種しか持てないのは戦い方を狭めることにも繋がる。ビガーとの組み合わせで戦い方が大きく異なってくるだけに、初代のように全武器を携行させてほしかった。
- 本作の特徴としてアピールされていた「スカイライン(やそれを使った戦闘)」はそれほど強い印象を残すものでは無かった。これまで以上にアクロバティックに戦えるようにはなったものの、可能なアクションが画一的なため、本シリーズにそれが必要だったかと問われれば「別に…」という感じ。
総評;
やはり本シリーズはクリア後に考察を深め、真にストーリーを理解する瞬間が何より楽しい。仕込まれていた謎や意味深なメッセージの意図が理解できると、さらに『Bioshock』は面白くなる。
また、物語だけでなく1本のアクションシューター作品としての完成度も秀逸であり、トータル的なゲームデザインとしてここまでのこだわりを持ってゲームを作れるクリエーターはそう多くは無いだろう。
直近のニュースによると本シリーズの開発元が大規模なレイオフを実施し、『Bioshock』フランチャイズの行方は未知数なものになってしまうらしいが、代え難い貴重なタイトルなだけに、今後もKen Levine氏の元で続くシリーズとなることを祈っている。