【レビュー #63】Call of Duty : Advanced Warfare(PS4)

【レビュー時のプレイ時間】 30h(キャンペーン・EXOサバイバルのみ)

<総合評価> 4.0 / 5

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
3 4 4 5 4 各/5点中

マルチは未だ十分にプレイしていないため、別レビュー予定。

【良い点】
  • CoDに縦軸の移動を持ち込んだ新鮮な操作感。ブーストジャンプやドッジで戦場を飛び回るのは気持ち良く、不用意な跳躍は敵の的になると分かっていながらついつい飛び回ってしまう。ブースト時の噴射音(?)も爽快感があり、移動するだけで楽しいFPSは初めてかも。
  • 過去作以上に近未来感に溢れており、登場するガジェット・兵器がユニークなものばかり。しかしながら、SHGがあくまでも現実世界での実現可能性を考証しながら制作したと言っている通り、完全なSFとはならないリアル感も併せ持つ世界観が特徴的。現代武器・兵器があまり登場しないことに不満を覚える方もいるかもしれないが、『BO2』や『Ghosts』よりも舞台背景はしっかりと練られているように感じられるので、個人的にはむしろ好印象。
  • ミッション間のブリーフィングやカットシーンのキャラクターモデリングやモーションが驚異的な作り込み。ハイクオリティなCGを「実写並み」と表現するのはありふれているものの、現時点でこれまでプレイしたゲームの中でもこの表現が最も相応しい作品。映画館のスクリーンで本人を見る様に、ケビン・スペイシーの感情込められた演技を堪能できる。
【悪い点・惜しい点】
  • EXOスーツの様々なアビリティがミッション毎に固定されているので、攻略の自由度は低い。ストーリー展開上仕方の無い事とは言え、発売前PRで「柔軟なカスタマイズが可能」といった説明を聞いたのは記憶違いか…。それぞれの操作に新鮮味は有るにも関わらず、結局はいつものリニアなCoDであることを実感する。
  • PMCに所属し、国家とは異なる枢軸として物語が展開するのかと思いきや、結局は大国アメリカを窮地から救うヒロイックな一兵卒となる物語は相変わらず。このあたりはセールスの大半を占めるユーザー(国民)を納得させるための不可侵な部分であろうから、次回作以降でもどれだけユニークなキャラクターや時代設定を用いても、結末は悪役(敵国・テロリスト)を倒しヒーローとなるカタルシスが盛り込まれるのだろう。
  • EXOサバイバルの取って付けた感がヤバい。これまでのZombiesやExtinctionのようなストーリーは皆無で、マルチとは別の報酬や固有のプレイヤーランクもないため、敢えて本モードをプレイする意義がトロフィー以外ほぼ無い。まさか、今後予定されているDLCはマルチ用のマップだけということは無いと思いたいが…。


【総評】

SHGがフランチャイズのメインスタジオへ昇格した記念すべき一作ということで多くの期待を集めた今作だったが、概ねその挑戦は好意的に受け止められそう。マルチプレイが好評だった『BO2』のシステムを昇華・発展させたスタイルも、初作を成功させる手堅い判断。

セールス的には『BO2』を凌ぐほどでは無いにせよ、前作で落としたシリーズの評判を回復させる役目としては健闘しているのではなかろうか。リリースサイクル的に来年の登場が見込まれるTreyarch製CoDが、フランチャイズ最大規模となった『BO2』の続編を作るのか、はたまた全く新規の舞台を用意するのか、今から興味深い。

ちなみに、今作でも主要なキャラクターとして描かれる女性兵士イロナだが、プレイヤーとしての操作場面があっても面白かったかも。必ずしも戦闘のあるシークエンスでなくとも、キャンペーンにおける印象的なシーンが演出できそう(例えば、女性の持つ魅力を生かした硬軟織り交ぜた潜入・交渉パートなど…)。
女性のヴィランも見てみたいが、上記に挙げたようにマッチョなCoDのユーザー層では難しいのかな。