【レビュー #67】Bloodborne【PS4】

『Bloodborne』のレビュー。

【レビュー時のプレイ時間】 60h
<総合評価> 4.2 / 5

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
4 4 5 4 4 各/5点中

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*良い点*

  • 同社が開発を手掛けた『Demon's Souls』『Dark Souls』のエッセンスを取り入れながら、本作ならではの世界観やシステムを上手くまとめ上げている。
  • ハードがPS4へ移ったことによるリッチな映像表現。陰鬱な夜の雰囲気や灯りに映えるゴシック様式の建築物など、不気味な雰囲気を醸し出すグラフィックが素晴らしい。目を背けたくなる奇形で奇怪なキャラクターの描写も相変わらずの良センス。
  • コントローラーを握る手に一層の力が入るほど、ボス戦の絶望感を煽る音楽は盛り上がる。過去シリーズ同様、ボス戦以外のエリア探索時のBGMはほぼ皆無なので、扉を開け(霧を抜け)ボス戦に突入する際の高揚感は他のアクションゲームではなかなか味わえない。また、本作の敵は人間の姿を留めながら理性を失い「獣」となった者たちなので、暗闇からブツブツと独り言が聞こえてくるのは狂気を感じられて恐ろしい。(『バイオ4』の村民のような)
  • これまでのシリーズの戦闘スタイルが「防」であったとすれば、本作は「攻」重視。攻撃こそ最大の防御と言わんばかりに、多少のダメージを覚悟の上にガンガンと斬り合った方が活路を見出しやすい。これまでの「致命の一撃」をさらに派手にした「内臓攻撃」も迫力があり、戦闘の部分だけを切り取ればかなり爽快感のある作品となっている。
  • 本作も過去シリーズ同様、よくあるRPG作品のようにレベルを上げれば何とかなるようなゲームデザインでは無く、プレイヤースキルや戦況の見極めが重要な緊張感あるものとなっている。初見のボス戦では諦めにも近い心境にさせられるものの、数度のリトライを経て撃破したときの達成感・充実感はシリーズ特有のカタルシス
  • いつも通り、周回の度に難易度が上昇するゲームバランスはクセになる。
  • 個人的な好みとして、『Demon's Solus』の様に再びセーフハウス的な拠点(=狩人の夢)が採用されたのは嬉しい。加えて、レベルアップを担当する人形の“中の人”が『Demon's Solus』の火防女と同じなのも心憎い演出。

*残念な点*

  • ロード短縮パッチが適用された現在ではその長さはあまり気にならない(5~10秒ほど)ものの、パッチ前は15~20秒ほどのロード時間がありストレスだった。パッチ前のロード画面はタイトルロゴが表示されるだけの味気ないなもので、余計に待ち時間が長く感じられたのかもしれないが。
  • 過去作と同じく、大型ボスをロックオンした際のカメラワークは不安定。ロックした状態で主人公の数倍もある体躯を目前にしながら立ち回ると、方向を見誤るほどカメラに振り回される。一部ボスの攻撃の当たり判定が不可解な部分もあり、なんとか技術的な改善を望みたいところ。
  • 『ソウル』シリーズの様なステータス差によるキャラメイキング(筋力特化、魔力特化…など)がし難く、戦い方が一辺倒になりがちで周回プレイやサブキャラの作成に意欲が湧きにくい。扱える仕掛け武器の種類も多くはなく、武具の収集や強化の面白味が薄いのも残念。
  • 仕掛け武器のアクションは格好良く、本作ならではのアイデアとしては優れてはいるものの、変形前・変形後の使い分けを迫られる場面がそう多くは無い点が勿体ない。他作品の例になり恐縮だが、『モンスターハンター』のスラッシュアックスのように斧モードでゲージを溜めて剣モードでザクザク斬り刻む…といったメリハリが欲しかった。
  • 聖杯ダンジョンはかなり淡泊で拍子抜け。本シリーズにハクスラ要素は不要では…?

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【総評】

作品の完成度としては期待以上の面白さであり、やはりフロムソフトウェアのストイックな開発姿勢とSCEの絶妙なバランス感覚は素晴らしい。『ソウル』シリーズと同じく、遊ぶ人を選ぶタイプの作品にはなるが、本作も一度ハマると抜け出せない程の中毒性を持つタイトルであることは間違いない。ただし、過去作ほどゲームプレイの幅広さややりこみ具合は控えめなので、今後DLCなどで大きな拡張が無い限りは、長期間に渡って遊び続けられる作品とまではいかないかもしれない。

今後のシリーズ展開は『Bloodborne』になるのか、『ソウル』シリーズになるのか、はたまた『新規IP』となるのかは分からないが、いずれにせよ、フロムソフトウェアが手掛けるこの作品群に連なるのであればしっかりと応援していきたい。


余談だが、本作の狩人の衣装や獣のモチーフや設定を見た時、真っ先にかつて見たフランス映画『ジェヴォーダンの獣』を思い出した。ネットでも関連を指摘するユーザーもいるようで、何かしら制作のヒントになったのかもしれない。

【PS4】Bloodborne(通常版)

【PS4】Bloodborne(通常版)

  • 発売日: 2015/03/26
  • メディア: Video Game