『ウルフェンシュタイン:ザ ニューオーダー』(PS4)のレビュー。
【レビュー時のプレイ時間】 20h
<総合評価> 3.2 / 5
(項目) | 独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 |
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(評点/5点) | 3 | 3 | 3 | 4 | 3 |
いいね!
- ヘルスの自動回復無し*1、アーマーによるダメージ軽減、弾薬の補充がシビア…等のオールドスクールなFPSであり、現代のグラフィックや操作性においてFPS勃興期のスタイルを楽しめる。ノーマル程度の難易度であれば、アーマーの収集さえ怠らなければ瀕死の危機は少ないながら、最高難易度であるベリーハードでは自動回復が無いおかげで隠れて回復しながら進むということができないので、純粋にFPSの腕が問われる硬派な作品となっている。
- 事前の印象から派手にドンパチする内容かと思いきや、多くのパートでステルスによって敵を排除する隠密スタイルが有効。しゃがみ歩きで移動し、敵の背後からテイクダウンや投げナイフキルをしていると、同社の『Dishonored』を遊んでいるかのような錯覚を受ける。もちろん、イメージ通りのアサルトライフルやショットガンを両手持ちして豪快に敵をなぎ倒していく戦法も、派手なゴア表現も相まって爽快感がある。
- 愛する人を守るため、ナチスへ復讐するために強健な肉体を駆使して奮闘するブラスコヴィッチの姿が勇ましくマッチョ。朴訥としながら、強固な意志を感じさせるような日本語吹き替えの演技も秀逸。また、黒幕含め敵キャラはイカれて胸糞悪い存在なだけだが、レジスタンスで行動を共にする仲間はキャラ付けがユニークで、次第に愛着が湧いてくる。
- 壁際で自動で発動するリーンや任意の覗き込みの操作が優秀。いかにダメージを受けないかが重要な今作のようなスタイルのFPSにおいて、スムーズなカバーアクションの重要性は高い。
おしい!
- 古き良きFPSのスタイルと言える反面、これと言って特筆すべき要素がない。敵が時代を超越した科学力で様々な兵器を拵えているのに対し、こちらはありふれた銃火器類で対抗するだけ。強力な(装甲が厚い)敵やボス戦は「レーザー銃を撃つ→充電する」の繰り返しで済むため、戦い方のバリエーションも多くはない。他のFPS作品ではビークルや航空機操作といった特殊なシーケンスが用意されることも多いが、本作はただひたすら敵と撃ち合うだけという展開なのも、盛り上がりに欠ける。
- およそ1年半前の作品であることを考慮しても、グラフィックの質は高いとは言えない。細部のテクスチャは荒く、燃え上がる炎などのエフェクトもちょっとチープ。人物モデリングもプリレンダのシーンはそれなりながら、ゲーム内の見た目はバタ臭い。ぶっ飛んだ世界観から、リアル系FPSのように描写に現実性や説得性を持たせる必要は無いながら、最近のタイトル群をプレイしていた後では物足りない感じ。
- 敵のAIがひどい。敵の視界内に入ってもしばらく留まらない限りは怪しまれることはなく、すぐに身を隠せば何事も無かったかのようにスルーされる。こちらに背を向けて棒立ちしているシーンも多く、ステルスしている割には緊張感がない。中でも、仲間の死体があっても周囲を捜索もせず、「ん?」と言うだけで巡回ルートから逸れない姿を見て、本当に現世代機のゲームかと疑ってしまったほど。あまり賢すぎるAIでもプレイヤーのストレスになるが、ここまで反応の無いAIも興がそがれる。