発売日 | 2016年6月9日 |
ジャンル | モトクロスレーシング |
開発元 | Milestone |
『MXGP2 - The Official Motocross Videogame』のレビュー。
レビューの観点
実際のレースを追体験できる「リアルイベント」が面白い
いくつか用意されているモードの中でも、実名選手を操作して実際のレース中に起きたアクシデントを克服する「リアルイベント」が面白かった。
現実ではトラブルにより不本意な結果となったレースをゲーム上で挽回するという “if” の内容ではあるが、レース前に実写映像が流れ、当時のシチュエーションを再現した状態でレースが始まることで、まるで選手になりきったような臨場感を与えてくれる。
用意されているシチュエーションもたくさんあり、私のような本作に係る知識をまったく持たない者でもモトクロスレースというものがいかに過酷でダイナミックなのかを垣間見ながら楽しむことができた。
退屈で長丁場な「キャリア」モード
「リアルイベント」モードが楽しめた一方で、各地を転戦しながらポイントを稼いで総合優勝を目指す「キャリア」モードはかなり退屈だった。
同じサーキットで同じ選手と2回レースをしなければならないルールのおかげで1戦に要する時間が長いことに加え、シーズン中はマネージャーから淡白な内容のメールが送られてくるだけで特別な演出もない。
公式チームへ移籍してしまうとマシンのカスタムすらできなくなり、レースで稼いだクレジットの使い道がまったく無くなるのも味気なさを助長している。
オフロードを走破するだけでも熱中できるファンの方であれば問題ないのかもしれないが、以前プレイした同開発元の『RIDE』同様、バイクレースに馴染みのないプレイヤーでもゲームとして楽しんでもらえるような配慮やメリハリが感じ取れないのは残念。
相変わらず長いロードとレスポンスの悪さ
『RIDE』での長いロード時間は本作でも健在。
前述の「キャリア」モードは1戦あたり2レースしなければならないのに、レース前・1レース目と2レース目の間・レース後と1戦あたり3回も長いロードが入る。
また、メニュー画面等でのカーソルがワンテンポ遅れるような挙動をするのも地味にストレス。いくら実名選手や車種を揃えてバイクの挙動もリアルに再現したとはいえ、ゲーム全体として “快適さ” を蔑ろにしているのはいただけない。
総評
『RIDE』の時にも感じたことだが、バイクレースのリアルさを意識するあまり、ゲームとしての “魅せ方” や “楽しませ方” が軽薄な印象を受ける。
開発元のMilestoneは数多くのバイクゲームを手がけた老舗だと聞くので、これまで培ったノウハウに現代的な洗練さと遊びやすさをブレンドさせ、コアなバイクファンも私のようなレースゲームに疎い層も楽しめるような作品を生み出してくれたら嬉しい。