【レビュー #110】アンチャーテッド 古代神の秘宝【PS4】

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発売日 2017年09月14日
ジャンル アクションアドベンチャー
開発元 Naughty Dog

アンチャーテッド 古代神の秘宝』のレビュー。

スピンオフといえども、いつもと変わらぬ『アンチャ』らしさ

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今作はナンバリングの無いスピンオフ作品でありながらも、美しい風景の中で繰り広げられるスリリングなアクション劇、キャラクター同士のユーモア溢れる会話、そして、『The Last of Us』以降磨きのかかっているノーティの物語手法等、『アンチャ』を構成する要素は欠けることなくぎっしり詰まっている。

特に、ディテールに富んだインドの描写は驚異的なもので、見た目のインパクトにおいては昨年発売のシリーズ前作『海賊王と最後の秘宝』を凌ぐほど。汗で額にはりつく髪や痛々しい生傷も更にリアルになっており、“プレイする映画”を標榜するシリーズに相応しい臨場感を感じさせてくれる。

当初は『海賊王と最後の秘宝』のストーリーDLCとなる予定だったものを、『アンチャ』の名に恥じない立派なスタンドアロンとして成立させたノーティの手腕は、相変わらず見事。

ネイト以外のキャラクターが初めて主役を務める作品

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今作の主人公はシリーズ2作目『黄金刀と消えた船団』以降度々登場している女性トレジャーハンターのクロエであり、シリーズを通して初めてネイト以外のキャラクターが主役を務める作品となっている。

また、道中を共にするバディには『海賊王と最後の秘宝』では敵側だった傭兵会社の元女性リーダー・ナディーンがあてがわれており、初の女性コンビによる冒険にはこれまでと異なる雰囲気が漂う。

劇中では、これまでクローズアップされることの無かったクロエのナイーブな過去や居場所を失ったナディーンのやるせなさが語られ、最初は雇い主と用心棒という契約関係だった2人が、次第に互いを信頼するパートナーへ変化していく様はドラマとしてもよく仕立てられている。

なお、サプライズ(?)として『海賊王と最後の秘宝』からアノ人が再び登場する。2人の関係を中和する役割としても非常に良い味が出ているため、今作からシリーズに触れる方ならば、前作を先に遊んでおくとよりいっそう掛け合いが楽しめるはず。

不安定なステルスと特徴味の無い戦闘

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さすがに10年に渡ってシリーズを継続してきただけに、アクションメカニックの土台は出来上がってはいるものの、ステルスに関しては微妙な出来。不可解な敵の探知力や警戒時における謎の行動パターンにより、無事に見つからずにやり過ごせても戦略通りに動けたという達成感を感じにくい。

戦闘に関しては、銃撃戦やカバーアクションはいつも通り軽快ながら、クロエだからこその特殊なアクションや装備を用意して欲しかったもの。探索時には申し訳程度の鍵開けギミックが追加されていはいるが、初の女性主人公を据えた今作の特徴をアクション面でもアピールできれば、より印象深い作品となったのではないかと思う。

総評

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予定されていたストーリーDLCから派生(発展)した作品であることや、シーズンパス所有者には無料で提供されることなどから期待感はそれなりだったが、実際にプレイしてみるとシリーズ作の1本として質・量ともに満足できる内容だった。

職人気質のノーティなので、今作を機に他のキャラクターをフィーチャーしたスピンオフを矢継ぎ早に制作することは無いと思うが、今作の出来栄えによって “ポスト ネイサン・ドレイク” の手応えは感じているような気がする。

今後しばらくは『The Last of Us Part2』の開発がメインになると思われ、『アンチャ』シリーズの継続も明言されてはいないものの、またいつか手に汗握る “未知の” 冒険が誕生してくれることを願っている。

余談

改めて日本における『アンチャーテッド』のサブタイトル群を見ると、ソニーローカライズチームの独特なセンスが際立つ。

ナンバリング 原題 邦題
- Golden Abyss 地図なき冒険の始まり
1 Drake's Fortune エル・ドラドの秘宝
2 Among Thieves 黄金刀と消えた船団
3 Drake's Deception 砂漠に眠るアトランティス
4 A Thief's End 海賊王と最後の秘宝
- The Lost Legacy 古代神の秘宝

※作品の並びは物語の時系列。日本版はナンバリングなし。


日本版ではナンバリングを排したことで、シリーズ未経験のユーザーでも参入しやすくなるのは良いとしても(実際どの作品からでも違和感なく遊べる)、直接的すぎるサブタイトルは好き嫌いが分かれる点。

日本の映画ポスターがダサい理由は映画代が高いから - 小倉さんは考えた

海外から日本に映画が入ってくると、ポスターがダサくなる...。それは事実だ。 実際こんな感じ。 確かにダサい。 こういうの↑を見て、他人事のように「日本人のセンスってヒドいよね」と上から目線で悲観する人が多い。だがそれは間違いだ。 説明しよう。 まず命題を確認しよう。 ①日本人のセンスがヒドい ②だから映画のポスターがダサくなる これで間違いないハズだ。 ...

以前、「なぜ海外映画のポスターが日本ではダサくなるのか」が気になっていた時こちらの方の考察を読んで納得したように、本シリーズにおいても日本のユーザーのことを考えた結果、情報が伝わりやすいサブタイトルにしたのかもしれないなあ。