#125『Wolfenstein: Youngblood』

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『Wolfenstein: Youngblood』のプレイ後感想。

リリース日 2019年8月8日
ジャンル ファーストパーソンシューター
My Score 2.3 / 5.0

オリジナリティ/ストーリー
話としては、超科学兵器を操るナチスの打倒というお決まりの流れ。その中で、本作ではBJの子供である双子姉妹を主人公に据えるという目新しさはあるものの、 “父と娘” という格好の題材を深堀しない起伏の無いストーリー展開と少ないキャンペーンボリューム、画面の前のプレイヤーを置き去りにするハイテンションな姉妹の下卑た言動などから最後まで作品との距離感が縮まらず、「ウルフェンシュタイン風の何か」をプレイしたような煮え切らなさが漂う。

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ソフとジェスの双子姉妹。パワースーツのデザインは好み。

グラフィック/キャラクター/サウンド
プレイ中は概ね高めのフレームレートを維持しており、FPSとしては気持ちよく動かせる。銃火器の質感やマップの描き込みも精細で、派手な流血や四肢欠損などのハードな表現も健在。作品紹介を読んで、80年代を感じさせるシンセサイザー音楽があらゆるシーンを盛り上げてくれるのかと思いきや、劇中のサウンドがいたって普通な点は期待はずれ。

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グラフィックはキレイだけど似た光景多し。ゲーム中のキャラモデルはのっぺり。

操作性/快適さ
本作の見どころとしてシリーズ初のCo-opプレイが挙げられるものの、それが面白さに結びついているとは言い難い。お互いに助け合える “ジェスチャー” は複数の効果の中から1種類しか装備できないため、場面に応じたサポートが行いにくく、共闘感は薄い。また、Co-opのセッションがボスを倒し終えても終了せず、その後も自由にエリアの探索を続けられる仕様のため、抜けるタイミングを計りにくいことも。

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エレベーターに乗る度に見せつけられる姉妹のダンスにはモヤっとさせられる。

リプレイ性/ボリューム
メインストーリーとなるミッションが少ないことに加え、ミッションの中身自体も似たような進行ばかり。サイドミッションもメインミッションのエリアを再訪することがほとんどで、作品全体を通してプレイヤーを刺激する取り組みに欠ける。複層的なマップ構造に開発協力した Arkane Studios の面影は感じられるが、本作に『Dishonored』のような魅力を持たせるにはまだまだ足りない。

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Dishonored』っぽいマップの作りだが、攻略ルートの多様性はまったくない。

総評
作品の立ち位置的にはスピンオフ扱いの実験作なのだろうが、ゲームシステム、ストーリー、キャラクターのどれをとっても秀でた点を見出すのは難しい。ゲーム中自由にスーツの外見や武器スキン等を変えられることで単調な内容に少しでも楽しみを与えてほしかったが、ゲーム内でのそれらの購入価格は異様に高く(課金専用のものも存在!)、明らかにゲームプレイとリワードのバランスがおかしいことも残念。気の合うフレンドと遊ぶ分にはそれなりに盛り上がるだろうが、シングルFPSの『ウルフェンシュタイン』シリーズとしてのクオリティを期待すると、納得できる内容ではないと思われる。そもそも、試みとして『ウルフェンシュタイン』シリーズにCo-opを持ち込むのであれば、シングルキャンペーン上での協力プレイではなく、押し寄せるナチスの群れを打ち倒す専用のホードモードのようなものを用意した方がシリーズの作風に合っていたと感じるのだが。