#134 『Night in the Woods』

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大学中退猫のメイが地元に戻り、かつての友人たちと再び騒がしく交わる中で、自身にも大きな影響を及ぼす謎の事件に巻き込まれていくアドベンチャーゲーム

メイを含めたキャラクターはすべて可愛らしい動物ばかりなのだが、日本の地方都市にも共通するような閉塞感が漂う「ポッサム・スプリング」には妙なリアリティがあったり、地元に戻れば昔と同じ生活を取り戻せると思っていたのに、実はメイ以外の友人たちの人生は少しずつ先に進んでいる現実に直面したりと、ポップな見た目とノリの良い言動の裏には、はかとない郷愁も感じさせる。

職人気質なローカライズで、メイ・グレッグ・ビー・アンガスらの個性を色濃く反映するセリフは読んでいて楽しい。スラングにまみれている(であろう)原語に忠実…かどうかは分からないが、日本語版『ナイト・イン・ザ・ウッズ』として、本作が見せようとしている物語は十二分に味わえる。