#200『Chernobylite』

愛しい人の影をゾーンに求めて。

PS4版発売時から気になっていたタイトル。ロシアのウクライナ侵攻が始まったことでチェルノブイリなどの呼称が変更されるようになったのは記憶に新しく、本作のようにロシアやウクライナ周縁を舞台とした作品をわだかまり無くプレイできる日はもう訪れないことを悲しく思う。

ゲームプレイは『S.T.A.L.K.E.R.』から影響を受けている模様で、放射線で汚染された土地でのサバイバルアクションに加え、わりとホラー要素も強い。荒廃したフルシチョフカや遺棄された施設群を物資収集で巡っている際に不気味な物音や笑い声などが聞こえたきた時は、恐る恐る辺りを見回してしまう。

原発事故災害によって現れたチェルノブライトという未知の物質を巡るストーリーは、壮年の堅物科学者イーゴルが行方不明の婚約者であるタチアナからのメッセージを受け取り、危険なゾーンでその姿を追うことから始まる。探索の過程で少しずつチェルノブライトとタチアナというキーファクターが結びついていき、最終盤で突き付けられる事実には俄然驚かされた。

細部にクオリティ不足を感じさせる点はありながら、凄惨な事故を題材としたサバイバルホラーとして確かな魅力を感じる作品。