【レビュー #9】アンチャーテッド -地図なき冒険の始まり-

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VITAでも「やべえ!」

シリーズ特有のノリの良さは健在。
ネイトの軽口やジョークは、『砂漠に眠るアトランティス』より面白いかも。

物語の雰囲気はシリーズ1作目の『エルドラドの秘宝』に近い感じ。
主な舞台はジャングルや遺跡で、いかにも冒険しているトレジャーハンター気分が味わえます。

また、VITAで可能になった、タッチする、こする、傾ける、かざす等の本体アクションを取り込んだ謎解きも面白いです。
アンチャーテッドのゲーム性との相性はとても良く、このソフトだけで「VITAらしさ」を一通り体感できるのではないでしょうか?


それから、新キャラのダンテも胡散臭さバツグンでいい感じ。
ファンの多いあの「相棒」もしっかり活躍します。

南米の革命を絡めたストーリーは過去作に比べるとダイナミックさに欠けますが、失った権威を取り戻すため「セニョールドレイク」を連呼しながら付きまとうグエロ将軍の姿は嫌いじゃないです(笑)


日本ローカライズではタイトルからナンバリングを排していることからも察せられるように、過去のストーリーへの言及はほぼ皆無のため、いつでも入りやすいのもアンチャシリーズの特徴です。

今作から手に取っても十分に楽しめます。

据え置き同等の操作感を求めるのは酷か

グラフィックの素晴らしさは携帯機にプラットフォームを移しても言わずもがな。

ロンチソフトの中では群を抜いてキレイです。
実機で見た方が美しく感じるのは有機ELを搭載するVITAのスゴさでしょうか。

開発はSCEベンドスタジオですが、本家ノーティドッグが築き上げた実績に傷を付けるものでは全くありませんでした。


ただし、良くない点ももちろんあります。

まずはエイムに遅延があること。
スティックの感度を最大にしても、照準がキビキビと動かない感覚があります。

次に、バディを組むNPCのAIのおかげで苦戦する場面があること。
NPCが不用意に敵前に出て被弾し、力尽きてゲームオーバーになる。
または、敵から逃走するフェイズにおいて、NPCがプレーヤーの進行を妨げ、それによってプレイヤーが集中砲火を浴びる…など。

さらには、タッチ操作による格闘戦の判定が厳しすぎること。
ミス判定されると即ゲームオーバー→戦闘の最初からなので、かなーりストレスが溜まります。

【上記2点については、ゲームの難易度を高く(難易度プロ)設定した場合に確認した現象です。通常の難易度であれば気にならないでしょう】


それと、これはプレイヤーの感じ方次第ですが、倒した敵からランダムドロップする戦利品の収集が苦痛なこと。
集める量もかなり多いので、ドロップするまで延々と敵を倒す「作業」が必要になります。
これまでのサクッと遊べるアンチャーテッドらしからぬ苦行です。
(戦利品はトロフィーにしか絡まないので、興味のない方はスルー可)


開発に慣れない携帯機での初アンチャ、および開発元が普段と違うことで致し方のない部分もあるかもしれませんが、据え置きにてシリーズを重ねるごとに脅威的な進化を遂げてきたシリーズだけに、ささいなことが気になりました。

ゲーム全体としての完成度は非常に高いので、上記の不満もプレイスルーを疎外するものでは全くありません。

「スゲぇ!」と感じた方はぜひ据え置きのシリーズも!

ロンチソフトということで、今作がシリーズ初プレイの方もいると思います。

キャラクターの掛け合い、映画的な演出、適度な謎解きが面白いと感じた方は、ぜひとも据え置きのシリーズも遊んでみてください。

発売順に『エルドラドの秘宝』『黄金刀と消えた船団』『砂漠に眠るアトランティス』とプレイすれば、アンチャーテッドがどれだけスペクタルな冒険であるかを味わえるでしょう。


ノーティドッグによればアンチャーテッドは3部作という訳ではないそうなので、今後もシリーズを継続していくようです。

開発のペースが早いことでも評判ですので、据え置きはもちろん、VITAでの新作にも期待しています!


レビュー #10:PSVITA『忍道2 散華』

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祝・忍道復活!

初代のPS2忍道 戒』にハマった身としては、このクオリティでシリーズが復活したことが嬉しい(涙)

「ニンジャ」のような壮快なアクション性は無いものの、天誅シリーズ同様に「忍者」らしく音も無く闇に紛れるステルス性はやっぱり面白い。

任務は暗殺にはじまり、護衛や強奪などバラエティに富んでいるため、様々な遊び方が可能。

世界観や一部の登場人物はこれまでのシリーズと共有していますが、直接的なストーリーのつながりは無いため、シリーズ初体験の人でも問題なく入っていけます。

恋人でもあった里の同胞を失った主人公の復讐劇の物語ですが、そこはスパイク&アクワイア、シリアスな話にもシュールな笑いを含んでくれます。

敵キャラクター(場合によっては仲間)が個性的すぎるほど強烈なので、それらが織りなす絶妙なバカバカしさのおかげで、血なまぐさい感じは一切しません。

新規に追加されたアクションはどれも良し!

今作から時を止めて一方的に暗殺する「斬刻」や自由に空を飛べる「風黒羽(ふくろう)」が追加され、アクションに幅が出ました。

敵に察知されていない状況であれば一撃で葬る「血祀り」も健在で、その「場」に合わせた暗殺をボタンひとつで行います。

なお、もし次回作があるのであれば、『天誅 紅』から導入されたシステムである「忍殺乱舞」のような複数の敵を一度で倒せるアクションが欲しいなと思ったり。

今作のマップの敵配置は比較的良心的で、それぞれが距離を置いて巡回しているので使える状況はあまりありませんが、敵の密集地帯を突破するような状況であれば、ぜひとも採用して欲しいシステムです。


VITA特有の操作性に関しては、背面パッドや画面タッチも無理なく生かされていることも好印象。

重要な機能ではないけれど、ゲームを快適にする工夫となっています。
もちろんOFFにもできます。

悪ノリ?良いと思います!

基本的に周回プレイを楽しむゲームなので、1周あたりのボリュームとしては携帯機ということもあり丁度良い感じがします。

クリア後のおまけ要素も豊富で、すさまじい性能を持った忍具の作成やキャラのスキン変更など、思わず吹き出してしまうものもたくさん用意してあります。

DLCとして提供されている『鏡の化身』もぜひプレイしてみてください。
ここでしか手に入らない「(いい意味で)ぶっ飛んだ忍具」を使えば、もはや作り手が設定したこのゲームの「枠」すらも軽く飛び越えます(笑)


かつて天誅シリーズを手がけた両社だけに、やはり期待は裏切りませんでした!

VITAロンチソフトの中で、日本的なアクションゲーがやりたい方にはとてもオススメです!