【レビュー時のプレイ時間】 50h(デッドキング含む)
<総合評価> 3.8 / 5
独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 | |
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3 | 5 | 4 | 3 | 4 | 各/5点中 |
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*良い点*
- 繊細に描きこまれた革命期のパリの美しさ
- アルノとエリスの物語
- ナポレオンやサド侯爵などの華やかで棘のある人達の登場
- 近代(?)パートのユニークさ
- 従来よりも歯応えのある戦闘
- 多様な装備品と防具のカラーパターン
- アイテムを駆使した緊張感ある暗殺劇
- シリーズ初のCo-opは新たな体験を生む
*残念な点*
- フレームレートの低下、バグ、クラッシュの発生(※)
- マッチメイキングの不具合、ラグ(※)
- 相変わらずのパルクールアクション誤発動
- 操作性が伴わない不安定なステルス要素
- 迫力の無いボス戦
(※)発売後のパッチ導入により概ね改善済み
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【まとめ】
何よりも評価すべきは美しいパリの描写。建造物のスケールも実寸に基づいているらしく、間近で見るとかなりの迫力がある。今作では屋内へ侵入できる場所も増え、宮殿内や貴族宅の豪奢な内装や調度品の数々はゲームながら見事な様。現世代機専用タイトルとしてリリースした気概は、こうしたグラフィックスのこだわりからも見て取れる。
しかしながら、発売当初は豪華なグラフィックの代償かのように大幅なフレームレートの低下(カクツキ)やフリーズ・バグが頻発していた。複数回のパッチによりプレイへの支障となるような問題は改善されたものの、シリーズの年刊化を含むUBI社の姿勢に不信感を抱くユーザーが増えてしまったことは残念でならない。既に公式でも存在を認めている、産業革命時のイギリスが舞台の今年度タイトル『AC:Victory(仮?)』がスムーズなローンチを果たすことを祈る。
それと、操作性や戦闘システムについては、より良いものへ改善していこうという作り手の試みは感じられるものの、シリーズの不満点や物足りなさを解消するまでへは至っていない。今作からは降りる動作もボタンひとつで自動化されたにも関わらず、つっかかって動作が中断してしまうシーンも多々見受けられる。従来作からのストレスである「意図しない所へ登ってしまう」誤操作も健在であり、シリーズの肝であるパルクールアクションの改善は現世代機だからこそ、まだまだ取り組む余地がありそう。同時に、戦闘システムも敵の攻撃力増加やカウンターのタイミングをシビアにしただけで、正直あまり変化は感じられないので、『バットマン:アーカムシリーズ』のような手軽で派手で爽快感のあるアクションへの進化は必要と言える。
また、ステルス要素の導入については、任意のカバーへの張り付きがし辛く、カバー間の移動もたどたどしいため、同社の『スプリンターセル』ほど鮮やかな暗殺は難しい。本シリーズを支えるユーザーが「アサシン」に対してどのようなイメージを抱いているかは分からないが、個人的にはもっと隠密動作を洗練させて「姿無き暗殺者」のようなプレイスタイルを楽しめるようにしてもらえると嬉しい。
最後に、マルチプレイに関しては、Co-opとPvPでの好みの違いはあれど、シリーズ初の協力プレイは新鮮で面白かった。パートナーとシンクロして暗殺キルする気持ち良さはアサクリならではで、フレンドと息を合わせて攻略すれば更に楽しめるはず。ただ、結局は(外人プレイヤーだと特に)敵との力任せの乱戦になることが多く、改めてステルスを重視するCo-opプレイのゲームデザインは難しいものだと思わされる。
【総評】
発売時のゴタゴタからあまり好い評判を聞かない本作だが、作品としてのストーリーや舞台設定は十分楽しめるクオリティだと感じる。『アサシンクリード』は、それぞれ境遇や性格の異なる主人公がクールで知的なアサシンへと変貌を遂げることでプレイヤーのジレンマを浄化してくれるタイトルであり、今作のアルノもそれに応える魅力的な人物であることは間違い無い。現世代機への展開を本格化する作品としては非常に優れた作品であり、パッチにて本来のゲームプレイを取り戻した今ではしかるべき評価を与えるべきだろう。
余談だが、本作と同時発売の『アサクリ:ローグ』合わせて全世界1,000万本販売というニュース(Choke Point | 『Assassin’s Creed Unity』『Rogue』の実売本数が1000万本を突破、『Far Cry 4』は700万本を出荷)を見て、システム面はもちろん、どの作品も「虐げられる→アサシンと出会い覚醒する→挫折する→苦難を乗り越え大義を成す」というプロットは変わらないのに、私を含めて本シリーズに魅了されるファンの多さには驚かされる(笑)