【感想 #96】LIMBO(PS4)

『LIMBO』簡易レビュー

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独創的で不穏なモノクロ世界、子供であろうと情けの無い死に様、考察の余地の大きい物語背景など、短めなプレイ時間以上に印象深い作品。 LIMBO という概念(以下に引用)を理解するのは難しいものの、此の世とも彼の世ともつかない空間で少年が妹を探してひたすら前へ進み続ける様には、心打たれるものがあった。

辺獄(へんごく、リンボ、ラテン語: Limbus、英: Limbo)は、カトリック教会において「原罪のうちに(すなわち洗礼の恵みを受けないまま)死んだが、永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く」と伝統的に考えられてきた場所のこと。中世の西方教会神学者たちが死後の世界について考える際に分けられたもので、いわゆる「地獄」や「煉獄」と混同されることもあるがこれらとは異なるものであり、イエス・キリストが死後復活までの間にとどまった場所(父祖の辺獄)、および洗礼を受ける前に死亡した幼児が行く場所(幼児の辺獄)と考えられてきた。
辺獄 - Wikipedia

さらに、パズルアクションゲームとしてのクオリティも高く、注意深い観察と操作をこなしてギミックを突破できた際は、脳が気持ち良くなる。トライ&エラーが多くなることを見越して、チェックポイントが細かく、瞬時にリトライできる点も評価したい。

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なお、先に “考察の余地の大きい物語背景” と述べた通り、本作の説明は「Uncertain of his sister's fate, a boy enters LIMBO」の一文のみで、兄妹の生死や死に至る過程、エンディングの解釈はプレイヤーの想像に委ねられている。

そんな中で、下記の方々の感想が興味深かった。

お二人の指摘を踏まえて思うのは、存在する物語をプレイヤーの文脈で読み解くだけがナラティブではなく、存在しない物語をプレイヤーが構築するのもまたナラティブなのではないかということ。仮に本作には後者のように明確な物語が存在しないとしても、作品としてナラティブに(感じられるよう)作られているのだと考えると、奥が深い。

<参考>
dengekionline.com
www.famitsu.com

【感想 #95】RIDE(PS4)

『RIDE』簡易レビュー

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プレイしたことのないバイクレースゲーム(しかも、カジュアルではないシミュレーター寄り)というジャンルのため、リアルな挙動と四輪とは異なる操作性に慣れるまで時間はかかったものの、コーナリング時の体を傾ける重心移動やカウルに身を隠して空気抵抗を減らすテクニックなど、リアルでバイクに乗ったことのない身ながら「バイクレースってこういうものなのか」と感じられるバーチャルな体験ができた。

選べる車体は有名メーカーの100種類以上あり、各パーツや外観カスタマイズも可能で、レース前にはブレーキやサスペンションの細かい調整までできるなど、バイク好きな方にとっては走らせるだけでも楽しめるであろう作品。

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けれども、レース前後の長いロード時間やメニュー画面のレスポンスの悪さ、チームメイトのAIレーサーの無個性さなど、レース以外の部分での作り込みの甘さが目立つのは残念。

レースでは、即座に時間を巻き戻してやり直せたり、初心者にも優しい走行設定が用意されていたりと親切な作りなのだから、ゲーム全体としても快適に遊べるようにしないと、余程のバイクファンでなければ定着し辛い作品になってしまうのではと感じた。

RIDE - PS4

RIDE - PS4

  • インターグロー
Amazon

【感想 #93】Contrast(PS4)

『Contrast』簡易レビュー

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発売日 2014年2月22日
開発元 Compulsion Games
ジャンル アドベンチャー

タイトル通り、光と影を上手く利用したパズルアクションはユニークで、大人びた雰囲気の暗がりな世界観に上手く溶け込んでいる。操作キャラクターであるドーンと、ドーンを導く女の子・ディディ以外の人物はすべて影絵とセリフのみで表現され実体感を感じにくいというのも、空想と現実の境目が不明瞭な物語の演出として面白い。

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全体的に見て、作品のコンセプトとゲームプレイを上手く両立させており、少ないボリュームながらも印象深い体験を与えてくれた。

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しかし、特定のパズルの解法がやや分かりづらいことや、ドーンの操作感がピーキーなこと、ストーリーに不明な点が残ることなど、細部での練りこみ不足は感じられる。

特に、海外レビューでも触れられている通り、ドーンの素性や本作の舞台となっている世界がどのように構築されているのかといった物語の核心はゲーム中のコレクティブルだけでは理解し辛く、もう少し丁寧な描写が欲しかった。

パソコン大百科 | パソコン総合情報サイト

本作の持つポテンシャルは魅力的なだけに、ディディとドーンという、それこそ光と影のような対照的な両者の存在にもっとスポットライトを浴びせていれば、さらに評価される作品になり得たと感じる。

余談

雰囲気の良い作品だったので、開発元を調べたところ、昨年海外ニュースで目にすることの多かった『We Happy Few』を手がけたデベロッパーだったことを知る。

compulsiongames.com

当初はあまり興味を惹かれなかったので、同作の記事もタイトルを流し読みする程度だったが、改めてゲーム内容やビジュアルを確認してみると、非常に気になってきた。

jp.automaton.am

昨年にPCとONEで発売され、現時点でも早期アクセス扱いなので今後どうなるかは分からないものの、製品版となった暁にはぜひともPS4版も検討してほしいもの。

まあ、仮にPS4版がリリースされても、ローカライズは期待できそうにないけど。

【感想 #92】メタルスラッグ3(PS4)

メタルスラッグ3』簡易レビュー

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古き良きアーケードライクの2D横スクロールシューティング作品をプレイするのは久々で、複雑な事を考えずにひらすらボタンを連打しながら敵の攻撃を掻い潜っていくゲームプレイは懐かしく、楽しい。

難易度やルートにもよるが、通しでプレイしても1〜1.5時間程度で終わり、残機が尽きてもすぐにその場でコンティニューできるため、コントローラーが2つあれば、気軽に友人・家族らとワイワイ言いながら遊べるツールとしても非常に優秀。

操作が単純で分かりやすいからこそプレイヤーのセンスも光るため、得手不得手がハッキリと見えてくるのも面白い。

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ただ、ゲームの展開的にファイナルステージの冗長さは少し鼻についた。
ボスを倒したかと思いきや、その後もだらだらと(しかも敵の攻撃がいやらしい)戦闘が続くので、エンディングが近づいている予感を感じて昂まったテンションも、盛り下がってしまった。

余談

本作のキャラクターイラストを見て、かつて大好きだった90年代のSNK全盛期を思い出し、描いている方を検索したところ、森気楼(しんきろう)氏という方だと知る。

業界的にはかなり有名な方で、SNKからカプコンへ移った後は『VS CAPCOM.』シリーズや『モンハン』『バイオ』等のイラストも描かれているそうで、そう言えば今もよく目にする画風だなと納得する。

matome.naver.jp

氏の描く『餓狼伝説』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』のキャラクターイラストは、格闘ゲームらしい濃い世界観が感じられて格好良い。