#153『ブラッドステインド リチュアルオブザナイト』

いわゆるメトロイドヴァニアにはほとんど触れた覚えは無いものの、本作がクラウドファンディングを通じて製作費を募って話題となっていたことは知っていた。

プレイ開始当初こそキャラクターの向きと連動したバックステップの回避方向に戸惑ったけれど、多様な武器種により変化するアクションや豊富な魔法、RPG的なレベル上げと装備強化によってプレイヤースキルをカバーできる遊びやすさ、瞬時のエリア切り替えによるテンポの良いマップ探索などのおかげで、ジャンル初心者でもサクサクと最後まで楽しめた。

既にリリースから3年が経過している現在も無料でコンテンツ追加のアップデートが行われており、最近発表されたロードマップでは追加エリアやPvPも実装されるそう。支援してくれたファンへの感謝か、本ジャンルへの強い思い入れか、本作へ注がれる制作陣の血は枯れない模様。

#152『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』

PS+コレクションの『P5』、フリープレイの『P5S』を続けて遊び、『P5』シリーズの魅力にハマった勢いで本作も購入。無印でもかなりのボリュームだったが、“幻”の3学期パートや新ダンジョン、イベントシーン、一部テキストへのボイス等々が追加され、まさに完全版とも言える内容。新キャラの芳澤、丸喜、そして因縁の明智を主軸とした3学期の展開は、無印(『P5』)に準拠している12月までの様相とは大きく異なり、『P5』の新たな側面を見せてくれる。

個人的には、物語面以外でもペルソナへ「特性」が追加されてスキル構成との組み合わせが多様になった点、合体警報によりお気に入りのペルソナ強化が容易になった点、主人公以外の仲間へ自前習得以外のスキルを覚えさせられたり、恒久的にステータスを伸ばせられたりして攻略の幅ややり込み度が増えた点が特に楽しめた。

根強い人気のため、未だ高値を維持しているものの、私のように『P5』から『ペルソナ』シリーズに触れる方には、ぜひとも無印ではなく本作をオススメしたい。

#151『VA-11 Hall-A』

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サイバーパンクバーテンダーアクション」の名の通り、人体のオーグ化や人型アンドロイドが当たり前のサイバーパンクな世界で、バーテンダーとして毎夜やってくるお客にカクテルを振る舞っていく特異なアドベンチャーゲーム。開発は南米ベネズエラのインディースタジオでありながら、アニメや漫画を意識したキャラクターデザインや日本のサブカル作品が用いそうなネタやノリを軽快に盛り込んでいるのも印象的。

バーテンダーのジルが目を背けてきた過去の出来ごとと向き合おうとする物語が本作の主軸ではあるが、その過程にはクスッと笑える下ネタ成分多めの会話がふんだんに繰り広げられる。プレイヤー自身もお酒を片手に持ちながら少し上気した気分で本作を遊べば、そうしたやり取りをより楽しめそう。

一見するとアクの強い様々な要素がカクテルの如く調和され、まさしく「一日を変え、一生を変えるカクテルを!」というフレーズ通り、記憶に残る味わいを提供してくれる作品。(翻訳の妙技にも乾杯)

#150『God of War』

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PS2時代から続いてきたシリーズの新章となる作品。前作までにギリシア神話の神々を容赦無く打倒してきた荒々しいクレイトスの姿は鳴りを潜め、新しい神話の世界で幼い息子アトレウスとのぎこちない関係に苦慮する物静か(で不器用)な父親像は、吹き替え声優の変更とともに新鮮に感じられる。

要であるアクションについては、肩越しのTPS視点となり、象徴的だったQTEもかなり控え目となっているのに加え、過去作よりもゴリ押しが効きにくく、敵の挙動を見極めてコンボやクールダウン制の特殊スキル、アトレウスのサポートを駆使しなければならないため、駆け引きの緊張感が増している。

また、探索面にも力が入れられ、比較的広いオープンフィールドを自由に見て回ることができ、アイテム探しやコレクション要素の収集、サイドクエストの攻略など、メインストーリーを追う以外の楽しさも大きく拡充されている。

クレイトスという圧倒的な存在感を持つキャラクターを主軸にしつつ、新たな神話、新たな繋がり、新たなゲームシステムに取り組んだ本作は、シリーズ未経験者の手に取りやすさはもちろん、長らくブレイズ・オブ・カオスを振り回してきたプレイヤーにとっても『ゴッド・オブ・ウォー』への愛着をより深めてくれる一作となっていた。

#149『DAYS GONE』

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PS4時代に触れられなかった話題作。ポストアポカリプスの荒廃した世界・ゾンビ(感染者)・オープンワールドといった要素は人気故にありふれているが、夫婦愛や友情・因縁を巡ってアウトローな生き方から脱却する主人公ディーコンの成熟、燃料を補給しながら豊かな自然を走破するバイク移動、数十~数百の群れとなって押し寄せる感染者の大群とのスリリングな戦闘など、本作ならではの体験は確実に内包されている。

確かに、物語のギアが入るまでには少々時間がかかり、チューンアップが捗らない状態のバイクは性能が乏しく、所持武器が貧弱でディーコンのステータス(ライフ、スタミナ)も低いうちは感染者から逃げ回るのも精一杯ではあるが、妻サラについての事実、兄貴分ブーザーとの深い信頼、各地のキャンプリーダーやサブキャラとの交流などの描写が増え、バイクのスピードや航続距離が伸びて移動のストレスが減り、武器の選択肢が増えて感染者相手の立ち回りも理解できてくる中盤以降になってくると、グンと面白さが上昇する。

metacriticでのメディア評価は70点に留まるものの、一方のユーザースコアは8点を超えている珍しい例からも、ファースパーティ製のタイトルとしてはクセのある仕上がりかもしれないが、オリジナリティを持った楽しめる作品であることは間違いない。