『Tearaway 〜はがれた世界の大冒険〜』のレビュー。
【レビュー時のプレイ時間】 15h
<総合評価> 4.2 / 5
(項目) | 独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 |
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(評点/5点) | 5 | 5 | 4 | 4 | 3 |
いいね!
- VITAの性能(高画質なグラフィック、背面タッチパッド、カメラ、マイク、ジャイロセンサー)をフルに生かした作品でありながら、ローンチ当初の作品のようにタッチやジャイロを無理強いする訳ではなく、とてもユニークにゲーム内アクションに取り込んでいるのが素晴らしい。VITAという媒体を使って、まるで操作キャラクターのイオタ・アトイに直接触れているかのような不思議な体験を味わえる。本作がVITAのローンチソフトであったら、ゲーム機としての評価や注目度がもっと高まっていたかもしれないと言えるほどの完成度。ちょくちょくインカメラを通したマヌケ顔のプレイヤーが映り込むのは勘弁してほしいけど(笑)
- ペーパークラフト風のキャラクターや世界観は温かみがあり、遊んでいて心がホッコリする。タッチ操作でステージの一部をめくったり動かしたりする様は、仕掛け絵本を観ているかのよう。道中のクラフト要素(タッチ操作での切り紙制作)も独創的で、プレイヤーのセンスや工夫次第でその人の個性をゲームへダイレクトに反映させることが可能。ストーリーでイオタ・アトイが諭されるのと同じく、プレイヤーもまさに自分だけの物語(作品)を作っているかのような気持ちになってくる。
- 色彩豊かな舞台の雰囲気にあった素敵なBGM。アコーディオンの音色が優しい。
- アクションゲームとしてのレスポンスは良好。作品の雰囲気重視で操作性をないがしろにすることなく、しっかりと調整されている。全体を通して平易な難易度でシビアな操作は不要とは言え、通常移動のスピードや物を掴む時の反応、ジャンプの感覚などストレスなくプレイできる。地味ながら、こういったことはとても大事。物語の進行度や収集物の状況がチャプター毎に分かりやすくなっているのも親切。
- ゲーム内のキャラクターやオブジェクトの型紙をホームページからダウンロードして、実際に組み立てられる面白いサービスが実装されている。工作が好きな方なら、ゲームだけに留まらない楽しみ方ができる。
おしい!
- 右スティックの3Dカメラが使えずアングルが固定されている場面が多く、距離感や奥行きを掴みにくい時がある。
★まとめ★
以上から、次のような方におススメ。
- 愛らしいキャラクターと物語にホッコリしたい方
- VITAならではのゲーム体験をしたい方
- メディアモレキュールの作品(『リトルビッグプラネット』)が好きな方
フリープレイで配信されていなければ恐らくスルーしていたので、プレイの機会を与えてくれたPS+に感謝。グラフィックの質を据置機基準へ近づけるだけがVITAの特質ではなく、こうしたオリジナリティ溢れる作品を実現できるのも強みだと再認識した。本作と同じくPS4でリマスター販売される『Gravity Daze』にしろ、VITAならではの性能を生かしたタイトルはファーストパーティ製の作品くらいしかないのは残念だが…。
ともあれ、内容は独創的で面白く、任天堂のゲームのように性別や年代問わず楽しめる素晴らしい作品だと思う。