『バイオハザード7 レジデント イービル』のレビュー。
発売日 | 2017年1月26日 |
ジャンル | サバイバルホラー |
近年ではキャラクター人気に支えられ、ホラー要素よりもアクション性を前面に出したシリーズ展開が続いていた中で、大幅にモデルチェンジした意欲作。
「見た目」の部分では、一人称視点への変更やフォトリアルなグラフィックを特徴とする新ゲームエンジンの採用など、これまでの『バイオ』とはまるで異なるナンバリング作品のように思えるが、実際にプレイした感覚はまさに『バイオ』そのもの。探索・謎解き・戦闘がバランス良く盛り込まれ、自身が築き上げたサバイバルホラーというジャンルを再び見事に体現している。色々な意味でセンセーショナルだった『P.T.』や、インディー作品として大ヒットとなった『OUTLAST』などのホラー作品に触れた方であれば、それらの影がちらつくことは否めないものの、シリーズが久しく忘れていた ”恐怖” という観念を取り戻そうとした努力は認めたい。
それと、今作の評価すべき点として、サウンド面での素晴らしさも挙げられる。静まり返った邸内を探索している時に聞こえるラップ音のようなノイズや壁や床の軋む音、姿は見えないが付近にいるであろうモンスターの呻き声など、どれもが孤独な恐怖心を煽り、扉ひとつ開けるのにも慎重になってしまうほど。狂気じみた家族をはじめ、各キャラクターのボイスアクト(英語音声)も見事であり、現実味ある人物モデリングと合わせてホラー作品としての完成度を高めている。オリジナルが英語音声の場合は日本語吹き替えとどちらも聞いて遊ぶようにしているが、今作の英語キャストの方の演技は最近プレイしたどの作品よりも強く印象に残るものだと感じる。
新規IPではなく、シリーズのナンバリング作として変化を遂げたことでユーザーからの賛否は分かれてはいるが、私としては非常に楽しめた(怖かった)し、ようやく現世代機になってからのカプコンの本気を見たように思う。数少ない国産のAAAホラータイトルとして、前作で落とした評判を挽回するに相応しい作品だった。
満足な点
- 一人称視点へ変更されたことでの物語への没入感。
- 写実的なグラフィックが生むリアルな恐怖感。
- 思わず立ち止まってしまう不気味な環境音と素晴らしいボイスアクト。
- カットシーンを多用しない連続性のある演出。
- 不安定な動作を見せない快適なゲームプレイ。
残念な点
- 再開時や一部のビデオテープ終了時のロードの長さ。
- 敵のバリエーションや攻略パターンに乏しい。
評価
項目 | 独創性 | 映像性 | 音楽性 | 操作性 | 熱中度 |
---|---|---|---|---|---|
評価(良:☆ ◎ ○ △) | ○ | ◎ | ☆ | ◎ | ☆ |
最後に
予想通り、売上本数はかなり落ちた模様。前作での落胆や人気キャラクターと三人称視点を排した仕様変更など、ユーザーが離れた要因は複数考えられるが、製作したカプコンもそれは重々承知のはず。仮に、前作までのようなアクション>ホラーのキャラクター人気に頼り切った作品を継続していたら、更に悲惨な事態になっていたかもしれないし、今作で一度仕切り直しを図ったことは賢明だったと思われる。
既に『バイオ』シリーズとしては『2』のリメイクが発表され、そちらがどのようなスタイルとなるのかは興味深いところであり、新しい自社製ゲームエンジンができたことで1〜2年以内には『2(リメイク)』、『8』、『スピンオフ』のどれかは出してきそうな予感はする。いずれにせよ、今作で得た確かな評価を機に、現世代機向けのカプコンの取り組みが活発化することに期待していきたい。
余談その2
グロテスクバージョンの公式サイトを見ても、海外版と比しての規制については触れられていない。すぐにSNSなどで海外版でも日本語に対応していることや表現に差異があることは知れ渡るのだから、せめて規制の有無くらいは記載して欲しかったもの。
まあ、「グロテスクver.にも規制があります」なんて書いたら、何のためにver.を分けたのかわからなくなるけど。