#181『Unpacking』

ゆるやかに流れる荷解きの時間。

進学・就職・結婚など、人生の節目での引っ越し直後の部屋がステージとなり、積み重なった段ボール箱をタイトル通り荷解きしつつ、箱の中から出てくる様々な持ち物を(一定の制約はありながらも)自由に配置して新しい環境を彩っていく風変りな作品。

本作の主人公(居住人)はプロフィールが詳述されないため、年代ごとに変わる住まいの雰囲気や運び込まれた荷物をヒントとして人物像を想像するしかできないものの、その仕掛けこそが本作の面白さであり、主人公がこれから経験する、あるいは経験してきたであろうライフイベントを、物とそれらが置かれる空間に語らせる環境ストーリーテリングの手法が素敵。

何があったのか勘ぐってしまう出来事として、ツーショット写真(恐らく元交際相手)を他の写真と同じくピンボードに貼ったらゲーム的にNG判定(=配置できない)とされてしまい、キャビネットの中にぶち込んだらOK判定となったのには笑ってしまった。