【レビュー #41 / PS3】デウスエクス

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総合評価 7.2 / 10  (プレイ環境:日本版)

独創性 映像性 音楽性 操作性 熱中度
4 3 3 4 4
RPGのように物語が変化するFPS

RPGのように会話や行動の選択肢により物語が大きく変化する仕組みが面白い。他のFPSのように銃で敵とドンパチするだけでなく、アドベンチャーゲームのように話術により相手をなだめすかして戦闘自体を回避できる場面(ソーシャルバトル)も設けられているので攻略方法は多彩。限られた資源での主人公の能力拡張の取捨選択とも関連し、プレイヤー次第でプレイスタイルが変わるゲーム性は斬新で印象的。

ー ソリッドでダンディなジェンセンの魅力

落ち着いた雰囲気の吹き替えも相まって、主人公ジェンセンが渋かっこいい。瀕死の重傷により全身オーグメント化(サイボーグ化)してしまい、その姿を周囲から忌み嫌われても、知的で冷静にミッションを遂行する姿が魅力的。皮肉屋ながらジェンセンのことを信頼してサポートしてくれるプリチャードの存在もあって、メタルギアソリッド1のようなクールなおっさん達のゲームを遊びたい方にはとてもオススメ。翻訳の日本語も自然。

とは言え、技術的な問題なのか、人間らしさを表現したのか、会話する際に常にキャラクターが挙動不審のように体を微動させている点はちょっと不気味。モデリングに関しても、ストーリーに深く絡む女性陣(ミーガン、エリザ、マリク)はチャーミングなのだが、それ以外のモブキャラの外見はもう少し頑張って欲しかったかな。

FPSときどきTPSのユニークなシステム

本作は通常行動時や射撃時は一人称視点、壁や遮蔽物に張り付いてカバー状態の時は三人称視点にカメラが切り替わるユニークなシステム。初めのうちは独特な操作方法に戸惑うものの、慣れれば三人称視点の状態で周囲の安全を伺いながらスムーズに次の行動へ移ることができるので、緊張感と操作性を両立した練られたゲームデザインであることが理解できる。テイクダウン実行時に挿入される豪快なカットシーンも痛快でグッド。

惜しむらくは、こうした優れたシステムと多彩な攻略手段によりリプレイ性が高いのにも関わらず、周回引き継ぎプレイやクリア特典が皆無な点。何度も繰り返し遊びたくなる内容なだけに、サービス的な要素も盛り込まれていると尚良かった。


《評》

期待以上にステルスアクションの完成度の高かったので概ね満足。潜入の緊張感や作中の雰囲気などからメタルギアシリーズの世界観(サイバーパンク度から言って特に『MGS2』『MGR:R』)が好きな方へも薦められる作品。一方で、物足りない部分としてはボス戦の淡白さが挙げられる。いっその事ボス戦自体を回避できたり、自滅に追いこんだりできた方がゲームとして相応しかったようにも思う。WiiU版DCでは手を入れるようだが。

サイバーパンク+ステルスアクションという組み合わせは個人的に大好物なので、今後も初代のリメイクや続編が制作されることを期待。

なお、DLCの『ミッシングリンク』については本編が楽しめた方ならプレイして損はないクオリティ。ただ、本編では不可能なアクションが行えたり、特殊な敵が出てきたりなどということは一切無いため、シナリオの補完とトロフィー以外に大きな魅力は無いが…。それでも、本編以上に制限されたオーグメントと厳しい敵配置によって難易度は高めなので、よりスリリングな状況でのステルスアクションを楽しみたい方は是非プレイを。