『Death Stranding』のプレイ後感想。
リリース日
2019年11月8日
ジャンル
アクション
評価
4.3 / 5.0
オリジナリティ・ストーリー
コナミ から独立した小島監督 が、親交のある世界的名優らを多数キャスティングして作り上げた意欲作。普通のオープンワールド ゲームであれば目的地までの手段でしかない “移動” に着目し、人と人とを “結ぶ” 配達アクションゲームとして練り上げる稀有なセンスが溢れている。“つながり” がテーマな濃密なストーリーと、押しつけがましくなく、ゆるやかに他のプレイヤーとつながるオンライン要素も巧みに融合しており、アクションというジャンルの中でも新たな分野を開拓している。
ゲーム中に赤ちゃん(BB)をあやすアクションゲーム!
グラフィック・キャラク ター・サウンド
Guerrilla Games謹製のDecima Engineで描かれる自然風景が非常に美しい。緑が生い茂る草原地帯、ゴツゴツとした岩場の山岳地帯、暴風吹き荒れる雪原地帯などが微細な質感で描写されており、PS4 世代のグラフィック表現の中でもトップクラス。また、役者群のスキャン・モデリング も違和感なく高品質にゲーム内キャラク ターとして落とし込められていて、ノーマン・リーダス やマッツ・ミケルセン のファンにとっては至高の体験になるはず。いかにも映画的なタイミングで静かに挿入されるBGMも、小島監督 ならでは。
驚異的なビジュアルと驚異的なカッコよさのマッツ・ミケルセン
操作性・快適さ
実際にサムを動かしてみると、監督の近作である『MGSV』の操作感に近く、一般的なTPSや肩越し視点のアクションゲームに慣れた方なら違和感なく遊べる。ただし、本作特有の荷物を背負った際のバランス保持には慣れが必要であり、序盤は安全なルート選択の判断がつかなかったり、サムの能力や装備が未熟だったりする影響で非常に転倒しやすいため、我慢強く配達することが大事。操作以外の部分では、装備説明等のテキストが小さめであることとマップ画面の情報量が多すぎてやや見辛い点は気になった。
滑落死や敵に倒されてもゲームオーバーにならないが、依頼された荷物が破損してはダメ
ボリューム・リプレイ性
メインストーリーを追うだけでも結構なボリュームであり、その道中で配送依頼や落とし物を届けたりしているとプレイ時間がどんどん増えていく。クリア後は自由に行動することができ、各施設との親密度を高めたり、依頼をこなして配達人グレードを上げたり、国道を全面開通させてみたりとやり残したことに好きなだけ取り組めるので、それらをすべてやり遂げる頃(100時間ほど?)には十分な満足感を得られると思われる。いわゆる「2周目」のような周回要素は特にない。
僻地にあるプレッパーとの親密度上げは結構大変
総評
『メタルギア 』シリーズ以上にメッセージ性の強いストーリーと個性的なキャラク ター、政治や科学、人文学といった多方面への言及、豊富に散りばめられたサブカルチャー の小ネタなど、小島監督 のエッセンスが詰まった会心 の「A Hideo Kojima Game」。(失礼ながら)内容的に万人に受けるとは思えないコンセプトの本作を、インディースタジオという立場でAAA級の規模で仕上げた小島監督 の力量・カリスマ性・人脈は凄いとしか言いようがない。これまでの小島監督 作品以上に合う合わないがハッキリする作品だろうが、替えの利かないゲーム体験を欲するならば遊ぶべき大作。