#157『プレイグ テイル -イノセンス-』

史実ではペストが蔓延していた中世フランスを舞台に、若き姉弟の悲痛な逃亡劇と運命への対峙を描く物語。ゲーム内では黒死病そのものの恐怖というよりも、疫病の媒介となったといわれるネズミが「何者か」に操られて凶暴化し、人を喰らい、町を破壊するというダークファンタジー色の強い展開が描かれる。

ゲームは基本的にはステルス進行で、道中で修得する錬金術によって特殊な弾薬をクラフトし、重装備の敵を排除したり、ネズミが蠢く危険地帯を切り抜けたりしていく。一応、アミシアは遠距離武器のスリングショットを携帯しているが、時代相応の古典的な武器なので、普通のTPSのように敵を打倒していくというよりも、適切なタイミングでギミック的に使うものとなっている。

アミシア、ユーゴともに苦難の中で協力者を得ながら人間的に成長し、自分たちの意思と決意を抱きながら厄災の元凶へと立ち向かっていく健気な姿に心が打たれる。道中でユーゴがアミシアのために摘む花のように、凄惨な世界の中で逞しく咲く姉弟愛が美しい作品。