#146『Detroit Become Human』

f:id:pigro10:20211212013830j:plain

良かった点

  • 人間がアンドロイドを使役する近未来のアメリカにおいて、アンドロイド達が自我を獲得し、行動し、社会を変革していく様がドラマティックに描かれている。舞台がデトロイトであることから実際の歴史的な人種運動も思い起こされる中、一貫して被差別者のアンドロイド達の視点から力強く物語を描く様は、プレイヤーの心情を大きく揺さぶってくる。
  • これまでのQuantic Dream作品同様、ゲームでは一見嫌われがちなQTEをシーンの臨場感や操作キャラクターへの没入感を高めるために効果的に取り入れている。物語序盤でカーラ、マーカスが自我を芽生えさせる場面において、アンドロイドとしての抑制プログラムをプレイヤー自身に破らせる演出は、単純なQTEながらもかなり刺激的な体験だった。
  • 物語の分岐・派生がかなり細かく枝分かれしており、章ごとの異なる結末が積み重なることで終盤の展開が大きく変わってくるダイナミックなストーリーが面白い。苦難を乗り越え、感動的に迎えたシーンでも、選択によってはまるで異なる後味の悪いものへと変わるため、すべてのルートを辿りたくなってくる。
  • 2018年にリリースされたPS4の作品ながら、説得力のある精緻な人物モデリングやフェイシャルモーションは、PS5へ移行した現在でも見劣りしない。また、操作自体はQTEながら、アクションシーン(殺陣)の魅せ方が映画的で格好良い。
  • 機知や皮肉を含んだ会話も丁寧にローカライズされており、日本語吹き替えの質もとても良い感じ。

残念だった点

  • 豊富なルートをフローチャートで一覧できるものの、任意のポイントから開始できず、既に観たルートのシーンスキップもできないため、異なる展開を追いたいときに時間がかかる。
  • PS5でのプレイ時特有の問題なのかは不明だが、数時間プレイしているとスタッタリングが発生することがある。